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明日の為に今日はゆっくり休むように、というスンチョルさんのお達しを切実に守りたいのだが、どうしても目が冴えてしまい眠れない。
修学旅行前の学生か私は…。
仕方なく休憩室でココアを飲もうかと思い自室を出た瞬間、ウォヌくんとばったり。
「ウォヌくん」
「…A」
「ウォヌくんも眠れないの?」
「うん」
素直な返答にウォヌくんの隣に並ぶ私は、意外だね。と。
「孤児院ではいつも子供達が部屋に忍び込んで来ては一緒に寝てたりしてたから。なんか1人は久しぶりで」
広くていいんだけどな。と言うウォヌくんはどこか寂しそうだった。
「スニョンくんは?」
「アイツは爆睡」
「あはは…」
なんとなく光景が目に浮かぶ。
ウォヌくんと一緒に休憩室に立ち寄ると意外にもそこには誰もいなかった。
いつもは誰かしらのんびりとしてるのに。
ココア〜。と鼻歌混じりに自販機のボタンを押す。
紙コップに並々に注がれたココアに私は思わず笑みが零れる。
「ココア好きなんだ?」
「うん。小さい頃眠れない時によく飲んでたんだ」
小さい頃に親代わりの人がよく作ってくれていた。
これはあの人の優しさが全部詰まった飲み物だ。
「そういえば院長先生達はどうしてるの?孤児院は燃えてしまったし…」
「リーダーの人が組織の保護下にある場所を紹介してくれてとりあえずそこに避難してる。必要な物はあらかた手配してくれたし感謝してるよ」
「そっか…それは良かった」
スンチョルさんは周りがよく見える。
本当に良かった…。と安心しているとウォヌくんが唐突に私の髪に触れてきて椅子からずり落ちそうになった。
「な、なに!?!?」
「いや、なんとなく?」
な、なんとなく?なんとなくで人の髪に触っちゃう人なのウォヌくんは?
どうしよう動揺が隠せない。
いや、平常心を保つんだ私。
と、内心騒がしい私を見やるウォヌくんは少し表情を緩めた。
「驚いたり、青くなったり、真顔になったり、忙しいな」
「誰のせいだと思ってるの…」
ムッとした私にウォヌくんが、安心した。と呟く。
「何が安心したの」
「あの時泣いてたみたいだから」
「………」
出かかった言葉を呑み込む。
まさかアレを見られてた…?
いや、そりゃそうか…少し離れてたとは言え視界に入る範囲だ。
気まずい気持ちで私はココアに視線を落とした。
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yui(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます!すみません、私のやり方が悪かったみたいで1がシリーズ一覧に出てこないのです(泣)お手数ですが、作者の作品一覧から飛んでいただけますと有難いです! (2020年6月8日 21時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - あのこれって、「それは誰が為に2」となっておりますが、シリーズ1ってないんですか?シリーズ連載中のところを押しても2から始まるんです((長文すみません★てへぺr…((((( (2020年6月8日 19時) (レス) id: edee17033c (このIDを非表示/違反報告)
yu-i(プロフ) - ひまさん» コメントありがとうございます!我らがマンネはいつもイケメンですよね!! (2019年11月27日 11時) (レス) id: c69704419e (このIDを非表示/違反報告)
ひま - いやーチャニイケメンすぎやわ〜今回も最高でしたー (2019年11月26日 22時) (レス) id: 22433977db (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ですよねー!いやあ、96s尊い… (2019年11月16日 13時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yui | 作成日時:2019年9月17日 16時