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スンチョル side


「後ろから来る!」

忙しなく視線を動かすベクヒョンは声を張り上げていた。
ジョンハン達が多数を引き付けてくれてるおかげで、こちらを狙うものは少なかった。

ただ、浮遊する足場での戦闘は非常にやりづらい。

後ろから狙ってくる1本を振り向きざまに蹴り飛ばす。


「やっぱり僕も手伝うよ…!」

「いや、いい!!ベクヒョンは核だけに集中して!」

「わ、わかった!」


足に能力を集中させる。
ダンっと強く踏み込み高く跳ぶ。
狙い目の口を捕捉した。

数多く存在する口の中で俺は妙な確信を得る。
俺を呑み込もうとした口が恐らく、一番核に近い。


「ベクヒョン!あの口!!アレを狙うんだ!!」

「…ま、待って!?ダメ!攻撃出来ない!!」

「え、…なっ!!」


口にばかり目にいっていた俺は声を詰まらせた。
一瞬にして膨れ上がった怪物は今にも破裂でもしそうな勢いだった。


『ヒョン!ダメだ!そいつ自爆するつもりだ!!エネルギー量が膨大過ぎる!!逃げて!!』


ジフンの焦った声。

スンチョラ!!!とジョンハンに名前を呼ばれる。

膨れ上がった肉の塊から、零れる光が無数に広がる。

爆発寸前、その時だった。








『否!!』







彼女の声と共に空気が揺れ動いた気がした。

清らかなその一瞬は空間に静寂を与える。
爆発しかけていたそれはまるで何かに抑え込まれるように、そして鎮火したように萎んでいく。

それを見て悟った。
チャンスは今!!



「ベクヒョン!!」

「え…う、うん!!」


何が起こったかわからない様子のベクヒョンは我に返るなり一際大きい口に向け、鋭い光の攻撃を放つ。

口はその光を呑み込むなり奇声を発した。

何かが砕けたような音が聞こえ、肉の塊は苦しむように横転する。
横転した時の衝撃が強すぎて研究所が崩壊するのでは、と少しヒヤッとした。


「倒せた…?」


やがて風化していくように塵となって消えていく肉の塊に、ゆっくりと地に降り立つ俺とベクヒョンはその様を見ていた。


「うん、ベクヒョンのおかげだよ」


全てが塵と消え、残ったのはあの大男の亡骸だった。

最期までキムジヒョンを信じた男。
その亡骸は涙を流しているように見えた。

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yui(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます!すみません、私のやり方が悪かったみたいで1がシリーズ一覧に出てこないのです(泣)お手数ですが、作者の作品一覧から飛んでいただけますと有難いです! (2020年6月8日 21時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - あのこれって、「それは誰が為に2」となっておりますが、シリーズ1ってないんですか?シリーズ連載中のところを押しても2から始まるんです((長文すみません★てへぺr…((((( (2020年6月8日 19時) (レス) id: edee17033c (このIDを非表示/違反報告)
yu-i(プロフ) - ひまさん» コメントありがとうございます!我らがマンネはいつもイケメンですよね!! (2019年11月27日 11時) (レス) id: c69704419e (このIDを非表示/違反報告)
ひま - いやーチャニイケメンすぎやわ〜今回も最高でしたー (2019年11月26日 22時) (レス) id: 22433977db (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ですよねー!いやあ、96s尊い… (2019年11月16日 13時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yui | 作成日時:2019年9月17日 16時

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