太宰さんがマフィアから出て行ってくれなかったから駆け落ち(!?)した

35話 ページ16

俺と太宰とAは、ある情報屋の元へ向かっていた。


探偵社に来た匿名のタレコミの主を調べる為だ。


昨日割ってしまったAの眼鏡は復活していた。


｢おい、もう少し早く歩け。あとベタベタするな。暑苦しい｣

｢なんだ国木田君、羨ましいんだ｣

｢羨ましくなどない！｣

『約束の時間とかあるんですか？』

｢だいたい19時頃と言っておいた｣


そして今は18:57:19。これでは間に合わない。


『今が19時前で、約束の場所まであと5分位なんですよね。十分間に合うじゃないですか(※Aさんはあえて言ってます)』

｢阿呆！19時頃と言えば、俺の時計で18:59:50から19:00:10の20秒間のことに決まっているだろうが！｣


自分の腕時計を見ていたAが『はぁ……？』という顔でこちらを見てきた。



情報屋＿＿＿＿田口六蔵が居る地下室に着いた。


｢首尾はどうだ、情報屋｣

｢よお眼鏡、今日も手帳の言いなりか？……にしても珍しいな遅刻だぜ。何だ、コレとデート？｣

｢違う。デートとは決められた女性とするものだ。そして結婚は6年後とこの手帳に書いてある｣

｢結構決めてる女が居んの？｣

｢それが出来るのは4年後だ｣


全てこの手帳に書いてあるからな。


｢で、後ろのは誰｣

｢勿論名乗っても良いのだけど、次に国木田君が言う台詞があるから無理｣


やれやれ。


｢人に名を尋ねるときは自分から名乗るべきだ。あと太宰、許可なく俺の言動を先読みするな｣

｢……オイラは田口六蔵。14歳。職業は情報屋｣

｢私は太宰。太宰治だ。こっちは望月A｣

｢んだよ、デートしてたのは眼鏡じゃなくてお前らか｣


Aが嬉しそうに笑った。


今日はデートなどしておらん……が、こいつらにとっては一緒に仕事をするだけでもうデートと言えるのか。


全く、何処までもお目出度い奴らだ。


｢それで、タレコミの主は判ったか？｣

36話→←番外編を作りました！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す