セブチの姫と紅一点 (ページ1)

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今日は珍しく早起きできた。
出勤の時間まで2時間もある。偉すぎ、私。

『すんぐぁな』
「んー」
『お散歩日和だね』
「やだよ、すぐ帰りたがるから」

寝起きほやほやのスングァンにお誘いをかけたら却下された。
同い年で、気が合って、メンバーというより、家族というより……

『すんぐぁな、寝癖』
「いやそれ以前になんで僕の部屋にいるの」
『早起きしたから自慢しようかなーって』
「あーマジで……よく男の部屋にずかずかと…」
『だってスングァンじゃん』

私の言葉にふっっっかいため息を付く彼は、ファンの子が私達の関係性をそう呼ぶように、まさに幼馴染。
私の中で、女子、男子、スングァンなんていう分け方ができてしまうほど。
これを伝えるとすごく嫌そうな顔をするから言わないけど。

『すんぐぁにが一緒に来てくれないならハンソリ起こそ』
「いい、いい、いい！」
『？？？あ、ハンソリもう起きてるから大丈夫。睡眠時間妨害にはならない』
「なんで分かるのさ」
『え、さっき部屋いったから』
「………マジでこれだから一生世話焼けるわけよ…」
『え？？？』

ベッドに腰掛けたまま思い切り眉間に皺を寄せて、ぶつぶつ呟くスングァン。
よく聞こえないからと近づいてみたら想像以上の力で腕を引っ張られて、隣に座ってしまった。

「もうこれ何回目かわかんないんだけどさ」
『うん』
「コンビニ入る勢いでメンバーの部屋入らないの」
『あー…なんで？』
「だから……あなた女の子でしょって」
『女の子だけどなんでダメなの』
「男は狼なんですよ、知ってます？」
『またそれ……まぁうん、わかった、気をつける』
「それで気をつけた試しないでしょうが」
『今回は本気で』

多分、無理だけど。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、また大きなため息をつく。
とりあえず空気を治すために腕を広げてハグを求めれば、また、ため息。

『幸せ逃げるよ』
「誰のせいだと…」
『ぎゅーしよ、すんぐぁな』
「それも絶対に誰彼構わずやっちゃダメだからね」

びしっと私を指さして少し怒ってみせる彼は、普段はもっと明るくて面白い。
寝起きのせいか、私のせいか。
呆れ顔で優しく包み込んでくれる彼と私は幼馴染みたいな関係。

『わかったわかった、メンバーにしかしない』
「メンバーもダメ」
『えでもそれはいつも通りじゃん？』
「ダメ、今日からダメ。僕にしかしちゃダメ」
『眠いの？すんぐぁな』
「いいからわかった？」
『わかったけど…』

そして彼は、たまに、なぜか不機嫌に私を抱きしめてくる人。