キツネさんと紅一点 (ページ27)

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私は今、絶賛困っている。そして、私が一番苦手な時期。
それは、授賞式の時期。なぜなら、

『んん……ありがとうございます、』

他のグループのボーイズ達に沢山話しかけられるから。
多分、物珍しいのはある。挨拶程度で終わることが多い。
とはいえ私はホシもびっくりな人見知りなので。
知らない人と挨拶交わすのすら緊張の嵐なので。
だから友達いないので。
ウォヌに作れと言われるくらい友好関係狭いので。

『あーーっと…』

切り抜けたい、非常に。
すみません呼ばれたので……と、そう、言いたい。
だがしかし、問題はこの方向音痴加減。
なんか色んな人に挨拶されてぺこぺこしてたら、完全にここはどこ状態。
グループメールに、助けてって連絡したけど誰か見たんだか見てないんだか。

『恐縮です…』

＂可愛いですね！＂というのは言わなきゃいけない文句なのか？
それ言われると緊張増すからやめてください、なんて口が裂けても言えない。
いい加減に戻らないとなのは分かってるけど、まずここがどこ？
目の前のボーイに聞いたら教えてくれるのかな…？聞く勇気出すとこから難問なんだけど……。
しかも年下か年上かも分からないし…。

『あの…申し訳ないんですけど、SEVENTEENの控え室って、』
「お姫様みっけ」

私の勇気、よくやった。そしてチョンウォヌ、よくやった。

「うちの子がどうもすみません、うちの子が」

にこにことスマイルを浮かべて手を引っ張るこの人、今日は神様って呼ぼう。

「なにやってんだかよ」
『迷子になったんだよね』
「助けてとかアホなこと書くから大騒ぎになっただろうが」
『ちょっと詳細打つ余裕なくて』

疲れた。緊張から解き放たれて、とても疲れた。
いつだかのキス未遂事件のすぐあとは、目すら見れませんでしたけど。
今は平気だもーん。超平気。メガネ越しにバンバン目合わせられる。