キツネさんと紅一点 (ページ17)

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知らない、知らない。
さっさとシャワーでも浴びて切り替えよう。バックハグでついてくるこの人のことなんて、気にしない。

「俺と行くときもミンギュに可愛くしてもらって」
『やだ。あと、可愛いって言わないで』
「なんで。ホシに言われたら嬉しそうにするだろ」
『だから、ウォヌとホシの可愛いは違うの』

ドアを開けようとして、上から重なった手に止められて。
その手をどかして、また重ねられて。アホみたいな応酬。

「俺だって嘘で言ってない」
『違くて……ホシのは嬉しい、ウォヌのは本気で言われると死にそうになるからやだ』
「ドキドキして？(笑)」
『そうだったら悪いんですか？……いい加減、手を退かしてくださる？』

寝癖全開のくせに。寝起きのくせに。
可愛い、の一言で朝から人のこと振り回して、許せない。
絶対にコンビニでお菓子奢ってもらうまで許さない。

「なにそれ、バカ？」
『チョンウォヌ、いい加減に、』
「可愛すぎだな、バカ」
『言ったそばから、』
「朝から困らせるのやめてもらえる？」
『こっちのセリフなんですけど？』

後ろから伸びた手がドアを開けて、眠そうにリビングに突っ立ってるクプスひょんが、言い合う私たちを見て目を見開く。

SC「社内恋愛？」
『はい？』
WN「起こしただけだよ」
SC「起こしただけで、可愛すぎだなの発言が出る世の中、怖」
WN「朝イチで見せてくる猫の動画が可愛くて」
SC「あぁそうかいそうかい」

どうでもいいわ、と伸びをするクプスひょんと、息をするように嘘をつくウォヌ。
大して寝れてないのに、朝から疲れすぎて移動車は爆睡する未来しか見えない。