検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:20,076 hit

我が家の夜 ページ1

慶一郎Side



今日は珍しく定時で上がれた俺は、みんなが帰ってくるのをのんびりテレビを見ながら待っている。



「ただいまー。」



ドアが開いた音と一緒に聞こえてきたのは、消化器内科医の3男、シゲの声だ。



「おかえり。」



「慶にぃ早かったね。俺が1番だと思ってたのに。」



「もう奇跡みたいなもんだよね。
時間できたから、リビング掃除しちゃった。」



「ありがと。」



リビングの掃除は、俺か貴の役目だ。



「今日の夕飯何?」



「ポトフ。そろそろキャベツ使わなきゃなーって思ってたから。」



良いながらエプロンを着ける姿は、男の俺から見てもカッコいい。

シゲが夕飯を作り始めて20分が経った頃、再び玄関のドアが開いた。



「「ただいまー」」



どうやら、貴と祐は一緒に帰ってきたらしい。



「お、なんか良い匂いする。」



食べるのが好きな貴は、吸い寄せられるようにキッチンへやってきた。

その気持ちを、食が細い祐とAに分けてやりたいよ。



「ポトフかー。ちょうどじゃがいも食べたい気分だったんだよねー。」




ニコッと笑う貴の笑顔は、小児科のスタッフやお母さん達の間で、絶大な人気を誇っているらしい。



「なら良かった。弁当箱、いま出してくれたら一緒に洗ってあげるけど。」



食に無頓着な上に体が弱い祐とAのために、作れるときはシゲがお弁当を作ってくれている。



「ラッキー。っていうかシゲにぃ、今日のお弁当は絶対に嫌がらせでしょ!」



「嫌がらせ?」



可愛く頬を膨らませる祐に、シゲはとぼけている。

今日のお弁当、ピーマンのおかか和えにグリンピースが乗ったシュウマイだったからな。

祐が嫌がらせというのも分かる。

おそらく、昨日祐にイタズラされた仕返しだろう。



「でも、全部食べたじゃん。偉い偉い。」



「子供扱いすんなっての。昼休み貴にぃと鉢合わせたんだから、仕方ないじゃん!」



シゲと祐が言い合いをしているところに、末っ子の救命でフェローをしている、Aが帰ってきた。



「ただいまー。今日もハードだったー。
また二人で喧嘩してるの?」



「だって、シゲにぃが弁当で嫌がらせするから!」



「お弁当?」



Aはピンと来ていないようだ。

…ということは?



「A、昼メシ食べてないだろ。」



貴が厳しい顔になってAに尋ねる。



「いや、忙しかったから。
あっ、でも先輩が食べてくれたから問題ない!」




「ちゃんとご飯は食べなさい!」




今日も貴のカミナリが落ちることになった。




これが、我が家の日常ー

扁桃炎1→



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
133人がお気に入り
設定タグ:NEWS , 家族 , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:作者 | 作成日時:2019年12月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。