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深呼吸をひとつ。
日も沈みかけた街を背に、
もう見飽きてしまった家の扉を開ける。
A「ただいまー！」
母「おかえりなさいっ！」
父「おかえり、A。」
声を辿り扉を開けば、香ばしい匂いが空腹を刺激する。
扉の先、リビングにはキッチンに立つ母と
仕事から帰ってきたばかりの父がいた。
A「…もしかして今日はハンバーグ？」
母「ピンポーン♫
丁度作り終わったのよ、早く手洗っておいで〜！」
A「はぁーい。」
普通の晩御飯。
普通の会話。
普通の家族。
前世では有り得ないようなことばかり。
私ひとりで享受してる。
A「ん！美味しい！さすがお母さん！」
父「ああ...ママ、
毎日美味しいご飯を作ってくれてありがとう。」
母「ふふ、やだわ〜照れちゃうわね〜！」
『あ！？まだ飯作ってねぇのかよ、使えねぇな！！
俺はお前たちの為に働いてきたんだぞ！！』
A｢…………。｣
_____父親とも呼びたくない人でした。
あの人さえ居なければ、
私たち家族は幸せだった。
あの人が居なかったら、
私たちは家族に成れなかった。
毎日のようにあの人を殺す夢を見ていた。
ずっと昔にお兄ちゃんは家を出ていった。
何度も何度も殴られて、
死にそうに息をするお兄ちゃん。
押し入れの隅、泣きじゃくる妹を抱えて
時が過ぎるのを待つことしかできなかった。
殺したかった。殺しても殺し足りないほど。
あの人を包丁でぐちゃぐちゃにすれば
ママは喜んでくれたかな。
大好きだったお兄ちゃんは
戻ってきてくれたかな。
守りたかった妹たちは
泣きやんでくれてたかな。
ママも兄も妹も、皆皆幸せになりたくて。
今、私ひとりだけのうのうと生きている。
喉から手が出るほど望んだ'普通'だった。
皆とこの'普通'を手に入れたかったなんて、
_________嗚呼、我儘だ。
父｢……？どうした、A。
具合でも悪いのか？｣
母｢あらやだ！気付かなかったわ！｣
A｢あ、う、ううん！
ちょっとぼーっとしてただけ！
大丈夫だから！｣
ねぇ、大丈夫、大丈夫だよ。
優しいお父さん、優しいお母さん。
輪廻Aはちゃんと生きるよ。
貴方たちの大好きなあの子は
ちゃんとここに居るから。
ただ……この世界は少し苦しくて。
夢を見るのも少し辛いから。
思い出の中で呼吸をすることくらい、赦してください。
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！！！(プロフ) - 無山さん» ええ、とても素敵な言葉ですね…！教えていただきありがとうございます(><)夢主ちゃんには幸せになって欲しいですよね… (2022年10月4日 11時) (
レス) @page21 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
無山(プロフ) - 本当に最高です。「ヒーローは世界を救うために君を犠牲にするがヴィランは君を救うために世界を犠牲にする」僕が何かで見聞きした言葉で一番好きな言葉です！夢主ちゃんはヴィラン側で幸せになって欲しいです♡ (2022年10月3日 21時) (レス) @page24 id: da890bbd5a (このIDを非表示/違反報告)
！！！(プロフ) - 無山さん» ありがとうございます！漫画読んでて、絶対一定数こういう奴らいるよなって思って書いていたので楽しんで頂けて嬉しいです！ (2022年10月3日 21時) (レス) @page23 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
無山(プロフ) - 好きです。個性を持っていても他人をいじめる奴らがヒーローになんざなれるわけない。いいですよねぇ自分が馬鹿にしてたものに負ける時の表情！創造だけでも気分が高まる。さいっこうに好きです! (2022年10月3日 18時) (レス) @page21 id: da890bbd5a (このIDを非表示/違反報告)
！！！(プロフ) - 暖かいお言葉ありがとうございます；；6期アツいですよねぇ！！これからもよろしくお願いします！ (2022年10月3日 10時) (レス) @page20 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：！！！
| 作成日時：2022年10月1日 18時
