１：思ったよりも世界はファンタジー ページ1
ジリジリと地面が焦げ付くような夏。
今日は私の誕生日で、なんとなく浮かれていた。皆さんも、そんな経験あるだろう。
そんなフワフワした気持ちで、私は一歩前に出た。
ベタな自己紹介になるが、私の名前はAA。
高校二年生の絶賛ＪＫを満喫中だ。そして、今日、7月11日で17歳だ。
自分の顔を評価すると、85点位だろうか。
過大評価だとは分かっているが、ブスではないと思う。
「うわあ!!?」
そして急に聞こえてきたクラクション。
私の元へ鳥のように近付いてきたそれは、車だった。
私は思わず信号を渡りきった。
そこに居たのは天敵とでも言おうか。私の幼なじみである。
名前は安東雄哉。
「うわあ!!?ってなんだよ？」
「うるさいな、見てる暇があったら助けろチャラ男！」
名前に英雄の「雄」がついているくせして、ちっとも英雄のような事はしないのだ。
この男といて、良いことなんてあるだろうか。
運の悪いことに、こいつとは幼稚園からずっと同じクラスなのだ。
おまけに高校まで同じなんて。
私は鞄を雄哉にぶつけた。
そんなこんなで、学校に向かう私たちである。
「なに変顔してるの」
「してないバカ」
教室に向かう途中でもケンカ勃発だ。
おっと、ついカッとなって言い返してしまうのが私の悪い癖だ。
平常心平常心。
私は教室に入るなり一人の男子に釘付けだった。
「おはよう、
「おはようA」
彼は吾妻勇斗。
そして私の恋い焦がれているただ一人の男性だ。
よくマニアックな趣味だと言われる。
吾妻くんは、いつもマスクをしている。皆からはマスク依存性っていう噂だ。
でもそんなの関係ない。好きだから。
「…ねぇ」
「ん？なに？」
私の後ろの席の吾妻くんが、ボールペンで私をつつく。
すると、吾妻くんは私に聞いてきた。
「今日って、Aの誕生日…であってる？」
「え、あ、うん！そうだよ」
嬉しいな、吾妻くん、私の誕生日知っててくれた！
私は内心超喜んでいたのだった。
「その…、仲良くしてもらってるから、誕生日プレゼント」
「本当？ありがとう！」
吾妻くんは綺麗に舗装された小包をくれた。
中に入っていたのは、私の欲しかった可愛いノートやペンだった。
「これ欲しかったやつだ…なんで知ってるの？」
「え？あー…」
吾妻くんは少し考えるようにして答えた。
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