ペーパームーン 3 (ページ49)

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えへへ！とにっこりとまた笑って、マークを構いに隣に移るヘチャンを見てから、ゆっくりとAがソファーにもたれ掛かる。ぱちぱちっと瞬きをして、こっちを向いたAと目が合った。

『あんまり寝れなかったの？』

「さっきちょっとインタビューがあって」

『時間ずらしてもらうって言ってなかったっけ？』

「ちょうど収録の間が空いたから、そこでって」

去年の年末のステージから、Aに舞い込んでくる仕事が少しずつ増え始めた。あくまでもグループが優先だといくらAが言ったとしても、マネヒョンも断りきれないらしい。女の子たちのグループのような衣装は、「天使のようだ」と話題になっていた。

「さっき、どっちが良いかって聞かれたんだけど」

『どっちって？』

「今みたいな衣装か、わたしが前に着た衣装、どっちが好きですかって」

今日の衣装は、言ってしまえばあの時とは真逆の、かっこいいと言われる方が多いと思う。画面の中にいた、キラキラとしたメイクでも、ふわふわに巻かれた髪でもなくて、まっすぐに伸ばされた金色の髪が、肩にかかる。

「どうしたの、そんな顔しないで」

『でも、』

「今着てる方が好きですって言って終わりだよ」

『ほんとに？』

「あれはもう良いの。こっちが好きなの」

こっちの方が似合うでしょと笑うから、ぎゅっと手を握る。話を聞いていたテイリヒョンが、その上から手を重ねた。何も言わなくてもこうやって手を繋げば、全部伝わったら楽なのにな。

『……似合ってるけど丈短いよ！お腹冷えるよ』

「オンニが鍛えたなら切っちゃおうって」

『ドヨンイヒョンには見せた？』

「ううん、やばいかな？」

『やばいね、僕がとりあえず守ってあげる』

箱を持って近付いてきたヒョンからAを隠すように手を広げたら、マークが笑う。どうせ立ち上がったらバレてしまうけれど、もう少しだけ親友の特権を使わせて欲しい。Aは天使じゃない。手の届かない存在じゃなくて、僕と同い年の女の子で、僕の1番の友達だ。