プリズムの虹 ページ25
○JENO
1人でいた練習室を出て歩いていれば、向こうからAヌナとジェヒョニヒョンが歩いてくる。ひらひらと手を振っているヌナに振り返しながら歩いて、練習は終わり？という声に頷いた。
『うん、お腹空いたから』
「じゃあ俺らと食べよう。今頼んだやつで良ければ」
「もっと頼む？たくさん食べるよね」
ピザとか？と携帯から目を離さないでヌナが歩くから、ヒョンの反対側にまわって隣に並ぶ。これ食べる？とヌナがこっちを向いて、そこから何故か体がぴしりと動かなくなる。ジェノ？お腹空いて倒れそう？なんてよくわからないことを言っているヌナに手をぎゅっと握られて、なんとか意識を取り戻した。
『ヌナ、』
「ジェノ、あとちょっとだけ歩ける？」
『いや、違くて、』
「ん？」
『その……もしかして縮んだ？』
最後に向かって小さくなってしまった声は、ジェヒョニヒョンにまで聞こえていたらしい。さっきの自分のように固まってしまったヌナを見て、A縮んだの？と笑っているヒョンが肩を叩いたから、途端にヌナの顔が険しくなる。
「……ジェノが大きくなったんだよ」
『本当に？それだけ？』
「ジェノは…昔はこれくらいだったのに」
そう言って腰のあたりに手を当てるヌナに、そんなに小さくなかったよと返事をしながら、辿り着いたソファーに座る。ヌナを挟むようにヒョンも座ろうとしたけれど、あっち行ってくださいと向かいに押しやられていた。
ヌナと初めて会った時僕はまだ背が小さくて、チソンなんかはヌナの後ろにすっぽりと隠れてしまうくらいだった。今では僕たちはヌナを追い越してしまったし、ヌナは大きくなったねと言っていたけれど、昔見上げていたヌナが、僕よりも小さくて、なんだか手を握っていないとどこかに消えちゃいそうなんて思うことが、なんだか新鮮で、なんだか少し怖かった。
「そうだね、オッパたちも鍛えてるし…ジェノも…成長したし…」
『どうしたのヌナ』
「やっぱりオッパ、わたしもジム行かないと」
「キツイかなって言ってたじゃん」
「ほら、想像してみて」
シャツの裾を捲って、ぎゅっと力を入れた腕にある筋肉を見て、鍛えたヌナは嫌だなと素直に思った。ヌナの携帯が鳴って、待っててねと走って行ってしまうヌナを見ていれば、ヒョンが僕の名前を呼ぶ。
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作者名：yom | 作成日時：2021年10月3日 16時
