23時のグレー ページ22
○DOYOUNG
「A！うん、今帰るよ」
A起きてるって〜とニコニコしているマークに、早く帰ろうとジャニヒョンが少しスピードを上げる。ご飯を食べてソファーに座っていたAはいつのまにか眠っていて、見てるから行っておいでと言うヒョンのお母さんの言葉に甘えて買い物に出かけた。Aのパジャマを俺たちが選んだけれど、ちゃんと着てくれるかな。
「ジャニオッパ、」
「A、出てきてくれたの？」
「荷物重いでしょう」
『じゃあこれ持って、Aのだから』
「わたしのもあるの？」
「パジャマ選んだ！俺たちが！」
美味しいやつ買ったんだとAに話しているマークと並んで家に入って、お母さんとお父さんに挨拶をする。俺たちがいない間に馴染んだのか、初めよりも楽しそうに話をしているAを見て、良かったと、ジャニヒョンが呟いた。
「ちょっと心配だったから」
『A？』
「うん、もう大丈夫そうだけど」
『何か言ってた？』
「言ってたというか、ずっと気を張ってそうに見えたから」
会いたかったよと、ヒョンのお母さんに抱きしめられながら言われたAは、ゆっくりと背中に手を回していた。俺たちがいない間に、どんな話をしたんだろう。手伝いますとキッチンに歩いて行くAは、いつもと同じようで、いつもとは違っている。
みんなと寝る？という質問に、1人でも良いですかと答えたのはAだった。でも4人で話しながら、俺たちが寝る部屋から出たくなさそうにしていたのは、きっと誰もが気付いてる。マークが眠そうにベッドに寝転がったからAを部屋まで見送ろうと思ったけれど、俺が着ているスウェットの裾を、Aの手がきゅっと握っていた。
『A？』
「うん」
『もうちょっと話す？』
「ううん、大丈夫」
握った跡が付くくらい強く握りしめていたのに、あまりにも簡単にそれが離れて、おやすみなさいと言いながらドアが開く。手を振る隙間もないまま閉まったドアを見ていたら、ジャニヒョンがいつの間にか隣に並んでいた。
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作者名：yom | 作成日時：2021年10月3日 16時
