�� ページ38
○RENJUN
『Aヌナ、』
「ロンジュナ、寒くない？大丈夫？」
『うん、大丈夫』
さっきマクヒョンに連れられて、こっちに来たAヌナを見て、多分そこにいた全員の動きが止まっていた。最近Aヌナを見たらすぐにすっ飛んでいたヘチャンすらも、目の前まで行って立ち止まってしまって、くっつけない！と叫ぶくらいだ。結局うろちょろと周りをくるくると回った後、頬を赤くしてジャニヒョンの後ろに隠れていたくらいだ。
だってAヌナの衣装はいつもとは全然違って、なんというか、女の子のグループにいたら、きっとAヌナはこういう格好をしていたんだろうなって、考えたくない想像ばっかりしてしまう。こうやって何もしなくてもAヌナの隣にいれるのは、自分が同じグループの、同じメンバーだからというのを、まじまじと突きつけられているみたいになる。
『その、隣に座ってもいい？』
「…急にどうしたの？」
『なんで？』
「いつもはこう、何も聞かなくても隣にいるでしょう？」
『だって、』
「ん？」
今日のAヌナにじっと見つめられたら、なんだか僕は溶けてしまいそうになる。そんなこと言ったら可愛いねって笑われるから絶対に言わないけれど、口をぎゅっと閉じたまま隣の椅子に座って、ここ何週間か近付けなかったAヌナにくっついた。かろうじて布のある肩に頭を乗せたけど、なんだか良い匂いまでするから、ぐるりと目が回りそうになる。
「久しぶりだね、やっぱり」
『僕がいなくてもヘチャニがいたでしょ』
「そうだけど、わたしはみんな可愛いから」
『……それ嫌だ』
「え？」
『ううん、なんでもない』
少し手を伸ばしたらお腹が見えてしまいそうな衣装も、キラキラの目も、いつもは隠れてるのに今日は寒いくらいに出ている脚も、全部嫌だ。だってここに入るために、Aヌナが全部諦めたものだから。
僕は知ってる。小さかったAヌナがテレビの中で、ふわふわで可愛いワンピースを着てたことも、リボンがすごく似合っていたことも。衣装に合わせて塗られた爪の色さえも、似合っているから余計に苦しい。
「ねえロンジュナ、クリスマスだね」
『そうだよ、僕たちはステージがあるけど』
「去年は皆でお祝いしたの覚えてる？」
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作者名：yom | 作成日時：2021年10月3日 16時
