�� ページ35
○MARK
帰ったら今日の放送を一緒に見よう。楽屋を出る直前にAとした約束は、数分後に守ることが出来なくなる。さっきまで前を歩くヒョンを見ていた、前の列の人たち。そこにAが通った瞬間、Aが一瞬そっちを向いた瞬間、カバンの中から取り出したボード。Aの後ろにいた僕の目にも、嫌なくらいにしっかりと映っていた。
「A、早く」
「A！」
ジェヒョニヒョンがAの背中を押して、マネヒョンがその人たちの前に立つ。Aはそのまま押されるように前の車に乗ってしまって、僕は後ろの車に案内される。後から乗ってきたユタヒョンは、僕の顔を見て、ゆっくりと僕の名前を呼んだ。
「A、見た？」
『…うん』
「そっか」
先に前に乗っていたメンバーにユタヒョンが電話をして、その声の調子から、良いことではないことだけがわかる。隣に座るヘチャンは今にも泣きそうな顔をして、Aみたいに唇をぎゅっと噛んでいた。
「テンがAの宿舎にいるから、今日はそのままそっちに帰るって」
「Aヌナは？今日はもうヌナに会えないの？」
「ヘチャナ、とりあえずお前が落ち着いて」
「でも、！」
我慢していたヘチャンの目からぼろぼろと涙が溢れる。Aはきっとこれを見たら、自分が泣くよりも先に、ヘチャンのことを抱きしめるんだろう。ヘチャンの手を取って、できる限りの気持ちを込める。何もかもが大丈夫ではないけれど、それでもまだ、僕たちはAに会えない。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
