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ヌナは、僕だけのヌナじゃない。それでも、ここに来てから、どんなに寂しくても辛くても、ヌナが僕の名前を呼んでくれて、頭を撫でて頬を両手で包んでくれたら、いつの間にか悲しい気持ちはどこかに行って、明日も頑張ろうなんて前向きな気持ちになれる。ヌナは魔法を使えるのかな。昔ジェミニに言ってみたら、そうかもねなんてあまり興味のない返事をされたけれど、ジェミニがヌナを見る目は、とても優しいということを、僕はこっそりと知っている。
「ジェノは具合が悪いのに、こんなことを言って良いのかわからないんだけど」
『なに？』
「最近ジェノと2人っていうのはなかったから、今日は会えて良かった」
ヌナがそう言って、少しだけ汗をかいた僕の頭を撫でる。体の熱が全部そこに集まったみたいな、心臓がぎゅうっと掴まれて、僕は何も言えなくなってしまった。
最近のヌナは忙しくて、僕が声をかけてヌナの予定を崩してしまったら、ヌナが今日やりたいことが、出来なかったらどうしようなんて思って、動けなかった。ヌナはきっとジェノのせいじゃないよと言うところまで、想像出来てしまうから。
『Aヌナ』
「ん？」
『ヌナのこと、僕が1番好きだよ』
きっと熱に浮かされている。頭はぐらぐらと重いし、寒くて暑くて、ヌナがどんな顔をしてるかなんてわからない。恥ずかしくて毛布に頭まで隠して、ぎゅっと目を瞑る。心臓が飛び出ちゃいそうなくらい、バグバクと音を立てていた。
「…オッパが最近ジェノのこと可愛がってるから、わたしがオッパから奪っちゃおうかな」
少しだけ毛布から顔を出したら、ヌナが毛布を握っている僕の手に触れる。瞬きを2回したらヌナが見えたけれど、僕はヌナの、少しだけ赤くなった耳から目が離せなかった。
『ドヨンイヒョンはヌナのこと可愛がってるんじゃない？』
「最近ジェノの話をわたしにするの。本人にしたら？って言うんだけど、恥ずかしいって」
『…僕の話してるの？』
「ジェノはそこにいないのに、ジェノの話ばかりしてるんだよ。わたしたち」
わあ、どうしよう。今度は恥ずかしいよりも先に、嬉しくて勝手に緩んでしまう頬を隠してまた毛布に潜り込む。暑くない？と言うヌナに大丈夫と返して、なんだかこのまま飛べるかもしれない。元気になったら、ヘチャンよりもロンジュンよりも先に、ヌナの側に行こう。ヌナに頭を撫でてもらっていたら、僕はそのまま寝てしまっていた。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
