飴色の弓矢 ページ31
○JENO
「うん。今は落ち着いてるから大丈夫だと思う…わたし？大丈夫だよ。うん、キッチンのところ？」
近くでAヌナの声がする。そもそも今日は何日で何曜日で、自分は今どこにいるんだろう。目を開けて宿舎のベッドに寝ていると理解して、ジェノ？大丈夫？とこっちに近付く、ヌナっぽい人に手を伸ばす。宿舎にヌナがいるわけないのだから、きっとこれは都合の良い夢なのだ。
「ジェノ？体調はどう？」
『…え、夢……？』
「熱上がっちゃった？タオル変えようか」
違う。これは夢じゃない。すぐに手を引っ込めたはずなのに、なぜかその手はヌナに掴まれたまま、そして自分はどうでもいい部屋着で、ヌナが自分の部屋にいる。考えれば考えるほどズキズキと痛む頭が、どんどんと混乱を重ねていく。
『ヌナ、Aヌナ』
「なあに？」
『どうしてここにいるの？』
「うーん、今日わたしが休みだったから？」
『ほんとに？』
「練習しようと思って会社にいたんだけど、ドリームの子たちがジェノが具合悪いって言ってたから、それで来たの」
もしかして嫌だった？と聞くヌナに、全力で首を横に振る。そんなに振ったらダメだよと笑って、ロンジュニがジェノはこれが好きだって教えてくれたよと、最近よく食べているグミを見せてくれる。ヌナが前に食べていたから買ってるなんて言ったら、ヌナはどんな顔をするんだろう。
それにしても、最近ヌナとロンジュンは、知らない間に仲良しになっている。ヘチャンがいるときはあまり近付かないくせに、いないときはヌナの左腕は自分のものだと言っているかのようにぴったりとくっ付いて、ヌナと顔を見合わせてにこにこと笑っている。前にヌナの服を着てヘチャンがここ最近で1番と言っていいくらい騒いだ日から、一緒にいたチソンに聞いても何もわからなくて、僕はなんだか、心の奥が少しだけもやもやしている。
『ヌナは最近、ロンジュニと仲良いね』
「前より仲良くなれたかな」
『うん。ヘチャンのほうがすごいけど』
「2人とも可愛いから、どっちも選べないよ」
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
