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『え、わあ、！ごめんなさい』
「大丈夫？どこかに当たってない？ああ、赤くなっちゃったね」
『いや、えっと、大丈夫です』
「ちょっと待っててね」
Aヌナは僕の手に新しいフォークを握らせて、パタパタとどこかに行ってしまう。ヒョン大丈夫ですか？と言うチソンにとりあえず頷いて、じわりと広がった赤い丸と目を合わせる。
「ごめんね、サイズ合うかわからないんだけど、」
『え？』
「そのままじゃ練習出来ないでしょう？」
『…あ、えっと、』
「今度会ったとき渡せば大丈夫？洗濯で落ちたら良いんだけど」
『いや、あの、大丈夫です、！このままで！』
「でも早く落とさないと赤いのが残っちゃうから、ね？」
僕はまだ全てを理解できないまま、Aヌナが僕の手を掴んでどこかに連れて行く。というかチソンは何をやっているんだ！？と振り向けば、美味しそうにパスタを食べていたから、何も言わないことにした。
「ここに置いてね。今度会う時持って行くから」
『Aヌナ、』
「ん？」
『本当に、大丈夫なのに』
Aヌナに渡されたTシャツをぎゅっと持って、目を合わせられない自分が情けない。親戚は女の子ばっかりで慣れているくせに、この人の前だとそんなものは何も役に立たなかった。
「君たちのところに行くと、いつもヘチャニがわたしの隣にいるでしょう？」
『…あいつ、いつもくっついてるから』
「それも嬉しいけど、わたしはね、ロンジュンのことも、同じくらい大切なんだよ」
Aヌナは、僕が誰にも言わずに、秘密にしていたことを知っていた。僕だってヌナのそばに行きたいし、ヘチャンみたいにヌナに素直に甘えに行きたい。もしかして、Aヌナって心が読めるんだろうか。
「ロンジュンともっと仲良くなれたらいいな」
『…僕も、Aヌナともっと仲良くなりたいです』
「わたしたち、同じこと思ってたみたいだね」
会社に戻る車に乗りながら、さっきこの車に乗っていた頃とは自分の心が随分と軽くなったみたいな、チソンが車の中でお菓子をこぼしたって笑顔でそれを片付けてあげられるくらいだ。チソンに少し変な顔をされても、そんなことはどうだって良いのだ。
とにかく、今日は何があっても許せるし、僕の心は今海よりも広い。練習室に入った途端に、「なんでヌナの服着てるの！」と飛びかかってきたヘチャンは、少しだけ鬱陶しかったけれど。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
