ブルーが邪魔をする ページ18
○
会社の中に見つけた小さなスペースに書類を広げたまま、誰も見てないから良いかと思って思いっきり欠伸をしたのに、口を開けた瞬間に、角を曲がってきた人と目が合ってしまった。
『…オッパこんにちは』
「昨日寝るの遅かったの？」
『文字読んでたら眠くなっちゃって』
ジャニオッパは向かいに座って、バラバラに広がった書類のひとつを手に取る。これは面倒だねと言いながら、手に持っているコーヒーから滴が落ちた。
事務のお姉さんに大量に渡された書類は目を通しても終わりが見えないのに、出来れば今日中に…なんて手を合わせてお願いされてしまえば、いつもお世話になっている人の頼みを断れなくて、ここに座って何時間経ったんだろう。
「Aはどこでも寝られるって、テンが言ってたけど本当みたいだね」
『まあ、大体は』
「それは良い特技だ」
『静かに寝るなって怒られるんですけどね』
思えばテンオッパと最初に話したのも、確か会社のソファーだった気がする。ジャニオッパは紙に落書きを始めて、わたしもその横に絵を足していく。わたしが書いた猫が熊に見えたと言うオッパにふざけて怒っていたら、また角を曲がってきた人と目が合った。ついこの前顔を合わせたきりなのに、その人は、わたしが座る1人掛けのソファーに無理やり体を押し込んだ。
『これ1人しか座れないって知ってますか？』
「ちょっと聞きたいことあって」
「ウィンウィンはAとよく話すの？」
『ウィンウィンさんとは3日前に会ったきりですよ』
「あ、また」
『え、わたし？』
「なんで俺のことオッパって呼んでくれないの？」
顔を見合わせたまま固まったわたしを見たジャニオッパは笑っていて、ウィンウィンさんは至って真面目に話をしているように見えるけれど、わたしは頭の中で、彼のもう1人の同い年を思い浮かべていた。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
