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○JOHNNY
銀色のテープが発射される音に、隣にいるAが肩を揺らした。おめでとうございますという声と、歓声と、先輩たちの「Aたちが1位だよ！」と言う声で、やっとAが意識を戻す。ヌナ！1位だ！とヘチャニがAの手を握って、それでもAの顔は固まっていた。
『大丈夫？』
「大丈夫だと思います、多分」
『今はね、テヨンイが話してるよ』
「わたし、どうしよう」
『A？』
「う、嬉しくて」
Aは人気が無かったわけじゃない。それでもこのカムバックひとつで、出会うスタッフ、他のアイドル、番組のMC、入口にいてくれるファンまで、Aのファンが目に見えて増えた。当然だろう。だってAは、自分のイメージチェンジを指示されてから、今までよりも更に自分を追い込んだ。
「このカムバックで注目されるのは決して私ではなく、自信を持ってお届けするこの曲です」
ショーケースの最後の挨拶で、Aはそう言って、だから皆さん、よろしくお願いしますと深く頭を下げた。リハーサルでは何も言わなかったから、隣のドヨンの顔が一気にAを世話する時の顔に戻って、それを見たAが眉を下げていた。
「A！！」
「あ、オッパ、わっ、」
数え切れない程聴いた曲が流れる。Aを呼んだドヨンが、思わず心配してしまうくらいに思いっきりAを抱き締めた。Aには聴こえているのかな。たくさんのファンが、おめでとうと言いながら、Aのことを呼んでいることに。もうAが1人で泣くことがないように、世界は変わってきていることに。
ドヨンがAと目を合わせて、俺たち1位だよと言って、遂にAがしゃがみ込んだ。トロフィーを持ったテヨンがAの手にそれを持たせて、顔を上げたAが、泣いているのににっこりと笑ったから、俺たちは思わず息を飲んだ。だってこんなに、綺麗に泣く人を見たことがなかったから。
・
『ほら、Aはどこ？だって』
「Aは今メイク直してもらってますよ！泣き過ぎたらしいです」
「ヌナ全然平気だったのに！あ！Aヌナ〜！」
「遅れてごめんなさい、こんにちは」
「A、これ持って、コメント」
「…たくさんあるんですけど、応援してくれた皆さん、いつもお世話になっているマネオッパ、先生、スタッフの皆さん、ありがとうございます」
「あ！マネヒョン泣いた！」
「うわ！俺たちじゃ泣かなかったのに！」
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
