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練習生の頃、月末評価が上手くいかなかったAが練習室で泣いている時、なんて言えば良いのかわからないまま、Aが出てくるまで扉の前で立ち尽くしていたことがあった。
まだ10代の子供に課されるものではない課題を毎日毎日必死にこなして、それでも少しのグラつきで全てがダメになる。その時は黙って抱き寄せるくらいしか出来なかったけど、でも今は、その手を握って、言葉で伝えられるように、僕だって成長したのだ。
『自分はそんなに強くないけど、でもそんなに弱くはないって思ってみたら？』
「真ん中ってこと？」
『真ん中にいたら、どっちに行ってもまた戻って来れるでしょ』
「…やっぱりオッパはわたしのオッパだね」
『Aがこんな頃から見てきてるからね』
小さくAが欠伸をする。もう今日になってしまった明日も、その次の日も、何があってもAは活動をして、この先も生きていく。ゆっくりと瞬きを2回して、眠いねと言うAは、もういつものAだ。
『ほら、部屋行こう』
「…朝までいてくれる？」
『Aが嫌って言うまでここに居座ろうかな』
玄関のドアが開いてマネヒョンが帰ってきた。僕たちを見て早く寝ろと言う割に、ヒョンだって泣きそうな顔をしてるんだから、僕がAを元気付けた意味が無くなっちゃいそうなんだけど。
「オッパも、少し寝てね」
「Aが1番寝なきゃなんだから、な？」
「ありがとうオッパ。おやすみなさい」
僕の手を離して、ひらひらと手を振りながら部屋のドアが閉まる。長く深いため息を吐いたヒョンは、ちょうど流れているテレビを見て、俺のAが1番綺麗だと言う。僕だってそう思うよ。
『待ってよ、いつからヒョンのAになったの？』
「俺はAがこんな時から見てるんだよ」
『僕がいちばん世話してると思うけど？』
「まあでも、お前とドヨンイには頭が上がらないよ」
Aの世話をしているのは、決してAが何もできないとか、Aが甘えているとかそんなんじゃなくて、ただAと一緒にいたくて、Aが笑っているのを1番近くで見ていたいだけだ。それはきっとドヨンだって同じで、僕らのエゴかもしれないけれど、Aがいつか大人になって僕らの手を離す時、そんな時が来て欲しくないけど、その時まで、ずっとAの隣にいなくちゃ。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
