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にっこりと笑うオッパは、わたしに質問しているようで、実はもう全てわかっていて、それでいて、わたしの言葉を待っているんじゃないかと思う。きっとわたしは、上のお兄さんたちには、何も隠し事が出来ないのだ。
『…本当に心が読めるなら、言わなくてもわかるでしょう？』
「Aが言いたくないなら、俺は何も言わないよ」
ここに入って、良い言葉ばかり聞いてきたと言ったら嘘になる。仲が良い女の子たちは今になっても顔を合わせたらたくさん話すし、誰とも気まずいわけじゃない。ただその分、ふとした瞬間に聞いた言葉が、鎖のように頭の中を支配していくことだってある。
既にわたしがいるグループに入るのは、可哀想なことなんだろうか。偶然その時疲れていたのかもしれないけれど、ぴたりと体が動かないってこういうことだったのかと変に納得した自分がいて、自分の思考回路さえもあやふやにしかわからなかった。自分の意思でここに入ったけれど、ここに組み込もうとしたのは、たくさんの大人たちなのに。
『わたし、わかりやすい人間なんですかね』
「Aがっていうより、周りがAに敏感なんだよ」
『オッパも？』
「俺はさっきみたいに、Aが何にも考えなくていい時間を作る人」
『…じゃあこれ終わったら、』
「ご飯食べに行く？」
『やっぱり心が読めるの？』
「俺だってAを育てたからね」
まずはこれを出して来てと、バラバラになっていた紙が綺麗に纏められている。自分の存在を確かめるかのように名前を書いて、確かに消えない証拠を作っていく。
「もう出来たの？流石A」
『オンニ、これくらい余裕ですよ』
「じゃあこれからも期待してるね」
『…それとこれとは話が違いますけど』
Aと上に名前がある女の子が描かれた紙をこっそりとポケットに入れたことも、オッパは気付いているんだろうか。曇っていた空が晴れて、偽物みたいな青空が広がっていた。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
