【派生作品】【短編集】終焉に向かへ (ページ3)

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三重高専のみんな、元気してるかなページ3

「近衛先輩、卒業おめでとうございます！」
「ありがとう。」

後輩たちに一列に並ばされたと思ったら、なるほどこういうことか。
後輩たちが4年生一人ずつに、ベル型の花と感謝の言葉を書いたらしい色紙を渡している。
どうやら卒業祝いのつもりらしいが、どこにでもありそうな花一本と走り書きで書かれた色紙を見て、つい先日まで用意していなかったと確信する。

「九十九先輩も、卒業おめでとうございます！」
「ありがとー。」

奪い取るように花と色紙を受け取って、傘屋の順番を待たずに列を抜ける。
生憎にもこの後急ぎの任務が入っており、東京から迎えが来ているのだ。

「桜...」

いつの間に咲いてたのかわからないが、外に出ると満開の桜が出迎えてくれた。
そういえば、4年前の春も桜が満開だったな。
まだ弱かった私。
イイコちゃんぶってた私。
どこか呪霊に怯えてた私。
初々しかった私。
それと比べれば随分と成長したよな。呪力も増えたし、術式の扱いもうまくなったし、体術もそれなりにできるようになったし、背も伸びた。相変わらず呪霊は怖いけど。

くるりと後ろを向いて、四年間お世話になった学び舎に向かい合う。
こうやって学び舎と向かい合ったのは初めてかもしれない。痛い奴と思われるかもしれないし、恥ずかしい思いをするかもしれない。
それでもやろう。
いや、やらなきゃいけない。

「4年間、ありがとーっ！」

今までにないくらいの大声を出してから逃げるようにして路肩に止めてある車に乗り込んだ。

やっぱ恥ずいわ...やんなきゃよかった...