プロローグ ページ2
カヒューと苦しそうな呼吸だけが響く。
自嘲気味に笑っても、声は出ない。当然か、声を出すはずの声帯はアイツに取られてしまったのだから。
代わりに口からもれるのはドロドロとした赤い液体。
死とはこういう感じなのか、と嫌でも知らされる。
自分の周りが生暖かい。全身がずきずきする。
学生時代はこういうものと無縁だと思ってた時期もあったものだ。
まさか術式を初期化された挙句、呪霊に殺されるなんて、想像もしていなかったろう。
(三重高専のみんな、元気してるかな)
ああ、ほんっとうに私ってバカだ。
(ミータの耳、触ったことなかったな。)
生き残る方法だとか遺言だとか有意義なことを考えなきゃいけないのに
(あのとき煽られたの、星来に仕返ししてないな)
(音異に口論で勝てたことなかったな)
(稔の過去、聞けないままだったな)
(篠家先輩の笑顔、見たことなかったな)
(為替双子、仲良くなれないままだったな)
(猫宮先輩、やっぱ猫だったのかな)
(優に準一級のお祝い、出せなかったな)
(昼雲先生の年齢詐欺の証拠掴めなかったな)
(傘屋の傘、買ってみたかったな)
(姉さんに、生きてること言ってなかったな)
(廻、食べれなかったな)
(ああ、三重高専のみんなに、会いたい。)
ロクデモナイことばっかり考えてしまう。
ロクデモナイ...
そーいや、ほんっと、私の人生ってロクデモナイことばっかりだったな。
最後だし、そんなロクデモナイでも思い出してみるか
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作者名:靜 | 作成日時:2023年12月4日 19時