9.再会は路地裏で ページ10
雨宮広斗が女を殴った。
実は彼女が複数いて、その修羅場に巻き込まれたらしい。
実はお兄さんもヤバイ仕事してるんだって。
噂が噂を呼び、尾ひれがついて、それは静かに充満する。学校というのは狭いもので、例えるなら、かの有名なガス室の中で、ジワリジワリとその身を侵食されていくような…
Aは正直、どうして良いのかわからなかった。なぜアイツが彼女を殴ったのか、なぜ自分を…
A「……庇ってくれた？」
謹慎が解けても顔を見せないアイツは、Aの心に霧をかけていく。
A「このまま来ない、なんて…？」
考えるだけ無駄かもしれないが、そんなことがふと頭をよぎるのだった。
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ある日の放課後のことだった。
大通りを外れて細い路地へ身を踊り込ませたアイツがいた。
A「…っ、何して……？」
小さくなる彼の背中を追いかけて走ったが、なかなかに早足なアイツを見失う。
A「…ここ、どこだし」
昼間だというのに薄暗く、ギラギラとしたネオンが無数の光を放つ異様な場所…
引き返そうかとも思ったが、ここから帰れる道もわからない。
途方に暮れて、軽く放心状態のA。いつも強気な彼女には珍しく、なぜか目頭が熱くなった。
A「…あ」
零れ落ちそうな何かを零すまいと、上を向いた彼女の視界の隅に、追いかけていたあの影が…
A「待って！雨宮広斗！！」
ビクリ、と肩が震えた。
この場所では、たとえ大声を上げた女がいたとしても、視線が注がれたりはしないようだ。
お互いの視線が絡み合い、しばしの沈黙が訪れた。
広斗「…お前、なんでいんだよ……」A「…私のセリフだし」
制服を着ていない広斗は、幾分大人びてみえた。当然、制服のまま路地へ飛び込んだAはなんだか不釣り合いだ。
「…どうしたぁ、雨宮弟。昼間っから女連れてブツ運んでんじゃねぇよ」
ある店の裏口から出て来た、サングラスの男がせせら笑った。
広斗「…女の趣味が悪い奴に言われたかねーよ、アライグマ野郎」「大口叩いてんなよ、クソガキが。女は丁寧に扱え。お前も早くこの女連れて帰んな」
広斗はガサリ、と紙袋を男に渡すと、取って代わってAの腕をつかんだ。
広斗「行くぞ」A「…は、ちょ……」
よろけそうになりながら、腕を引かれて歩き出す。
やはり沈黙が2人を包んだ。
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しずね(プロフ) - 優花さん» コメントありがとうございます！返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 頑張ります、よろしくお願いします^_^ (2016年10月18日 20時) (
レス) id: b7c9368b76 (このIDを非表示/違反報告)
優花(プロフ) - 広斗大好きです！続きが気になります！更新頑張ってください！ (2016年10月11日 17時) (レス) id: 4d4b4f8455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しずね | 作成日時：2016年10月10日 16時
