6.大事件 ページ7
「あんた、ムカつく」
「あんたみたいなのがなんで雨宮くんと一緒にいるのよ」
「調子乗んなブス」
……これは俺のせいなのか。
相変わらず、Aとの距離は縮まらず、しかし離れすぎることもなく数ヶ月が過ぎた。
思えばここ数ヶ月、あんたの隣にはいたくない、だの、嫌いだから話しかけるな、とか散々な言われようだった。
カッとなって声を荒げたり、睨みつけたりしたのも日常茶飯事で。
今となっては、なぜその状態でよく付かず離れずの関係を保っていられたな、と思う。
通りすがりの空き教室で繰り広げられる、この目の前で起こっている出来事をぼんやり眺め過ごす、それは広斗に強い衝撃を与えたことをよくよく思い知らせた。
A「好きでいるんじゃないし…いちいち突っかかって来んじゃねぇよ！」
数人の女子に囲まれて、押し倒されて、カッとなって叫ぶAの頬に走る鈍い痛み。
「黙れ！！」「調子乗ってんな！！」A「…くっそコロすぞ……」
ぼそっと、しかし鋭く発された重い言葉。
…女って、案外口悪いよな。
まるで自分が自分じゃないみたいだ。
頭では冷静にそんなことを考えていた。しかし身体は抑えきれず、身を翻し、相手を殴り返す寸前のAの腕を掴み上げていた。
A「…はっ…？」
ギロリと睨みあげられる。元々良い印象のある女ではないが、こんな表情もできるのかと頭では苦笑してしまう。
広斗はそのままAの身体を後ろに飛ばす。ぐらりとバランスを崩したAは思い切り床に倒れこんだ。
…あ、やべ…力入れすぎた……
A「…マジでなんなんだよ！雨宮！！」
怒りに満ちた声を聴きながら、広斗はAを殴った女の頬を な ぐ り か え し た 。
キャッ、という悲鳴。倒れこむ女。教師を呼ぶ声。逃げ出そうとする女。
……めんどくせえ。
なんで俺、こんなことしてんだろ。
走り去る女達を横目に、今だ倒れたまま広斗を見つめるAを一瞥する。
広斗「…だいじょーぶ？」A「…は、あんた自分が何したかわかってんの……？」
いろいろ言いたいことがあるのだろう、でも言葉にならないもどかしさに唇を震えさせるA。
広斗「自分でも、何してんだかって、感じ」
へらっと笑った広斗。
Aが広斗の笑顔を見るのは、これが初めてだった。
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しずね(プロフ) - 優花さん» コメントありがとうございます！返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 頑張ります、よろしくお願いします^_^ (2016年10月18日 20時) (
レス) id: b7c9368b76 (このIDを非表示/違反報告)
優花(プロフ) - 広斗大好きです！続きが気になります！更新頑張ってください！ (2016年10月11日 17時) (レス) id: 4d4b4f8455 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しずね | 作成日時：2016年10月10日 16時
