【stxxx】【赤】君の居ない日常、色の無い世界【完結】

4　我慢 ページ5

R Side
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俺が泣いちゃいけない。俺が悲しんじゃいけない。俺が焦っちゃいけない。俺が、俺が………

るぅとくんを困らせてどうするんだ。

悪魔でも冷静に。

小刻みに震える手をるぅとくんの背中に添える。それでもるぅとくんの涙は止まない。

「大丈夫。るぅとくんは悪くないから。」

まだ高校生だというのにこんな目に合わなきゃいけないのはどうしてだ。

神様、そんなのあまりにも酷すぎないか。

大切な親友を泣かして。大好きな幼馴染を危険な目に合わして。

……いつも強がっちゃう俺を泣かせようとして。我慢させて。

まぁ、俺が勝手に我慢してるだけなんだけどね。

心の中で「泣くな」という３文字を呪文のように唱え続ける。

すーっと大きく息をし、声が震えないかを確認してからるぅとくんに話し掛けた。

「ころちゃん達にも連絡入れるね、Aのお母さんも今向かってる。」

スマホを取り出し、LlNEを開く。“ころちゃん達”というのは俺らの幼馴染達だ。

俺を合わせて7人。勿論、其処にはAも含まれている。

「A愛好会」なんて馬鹿馬鹿しいグループ名。いつもなら微笑むが、今は全く笑えない。それどころかその文字を見るのも辛かった。

“Aがるぅとくんを庇って事故にあった。居眠り運転。
〇〇病院、全員集合。”

“大人組の生徒会メンバーも今は仕事中でも抜けてきてね。勿論部活も。Aが危ない。”

震える手を握りしめ、送信する。秒で既読と返信が来る。

隣でそれを見ていたるぅとくんが「ありがとう」と呟く。




……早く。早く。

全員揃ってよ。俺が泣いてしまう前に。



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