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なきだしたい ページ9



知 り た く な か っ た 。

なんて心情が正しいだろうか。

Aはあの日のように泣いていた(げんいん参照)

否、あの日よりも大人びてはいたけれど。やっぱり、スルーすることなんて出来ず、話しかけてしまった。

「A、どうしたの?」

Aは俯いたまま。何も答えない。

「莉犬の…こと、?」

一番聞きたくない質問。でもAが泣き止むのなら、という微かな希望。

意外にもAはあっさりと頷いた。

「私ね、莉犬のことが好き、なの。初恋なの…ずっと好きだったの。」

“好き”という2文字が発せられるごとに苦しくなる。自分から聞いたのに、可笑しいな。

否、分かってはいた。知っていた。悟っていた。でも、本人の口から聞くのはやっぱり苦しかった。

うん、と相槌を打つ。その場から逃げ出したいという気持ちを必死で抑えた。

「さっきね、莉犬が告白、されてたの。少しね、恥ずかしそうに、笑ってたから…」

涙を流しながら途切れ途切れに話すA。“逃げ出しちゃった”と付け加えた。

僕は_そのまま莉犬が付き合えばよかったのに、なんて悪魔みたいなことを考えていた。最低以外の何者でもない。

「大丈夫。莉犬はその子とは付き合わないよ。」

とんとん、と背中を撫でる。

「なんでそんなこと分かるの?」

Aは分かりやすく首を傾げた。だから僕はこう言う。

「莉犬が好きなのは_別の子。僕のよく知ってる子だから。」

まだ、Aの顔には沢山の“?”が浮かんでいたけれど一先ず泣き止んだことに安心する。



貴方は泣き止んだのに、僕が泣き出したい気持ちになっているのは貴方の本当の好きな人が






_僕じゃないから。



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菜穂(プロフ) - 最後の終わり方がすごすぎて鳥肌立ちました。これからも頑張ってください。 (2021年3月3日 5時) (レス) id: fb9e5a147a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:憂聖 | 作者ホームページ:.  
作成日時:2021年1月12日 18時

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