検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:9,465 hit

まっくらやみのすぽっとらいと ページ7




「夜ってさ、なんでこんなに暗いんだろうね」

物理的に暗い理由なんて俺だってわかるよ。
だけど、だけどこんなに暗くなくたっていいじゃんか。なんて馬鹿みたいに考える。

「いろいろ考えちゃうのも、全部夜のせいかな」

何か理由が欲しかった。一番に思いつくのは夜だった。
暗いから、引っ張られそうになってしまうから。
こんなことだらかに話したって変わらないけれど。それでも聞いてほしかった。

別に答えなんてなくてよかった。
ただ暗いだけの足元に、スポットライトが当たった気がした。

「ほんとはね、声が聞きたかっただけなの」

言わないでおくって決めたのに漏れ出す弱音。
ほんとは全然頼りないのに、それすらも気にせず受け止めてくれる伊沢が温かかった。

「間違いなんかじゃなくて、いざわがよかったの。」

きっと、きっと何も言わずに居てくれるから。
明日も明後日も普段通りに接してくれて、特に腫れ物扱いすることもなくそばにいてくれるから。
それに甘えたくなってしまう。

「こんな時間に、急にごめんね」

何も言われないにしろ、迷惑は迷惑で。
心配もかけちゃってて、情けないとは思う。
震える声。やっぱ弱いな、なんてね。

「お疲れ様。夜が暗いと、なんかそれに巻き込まれちゃうよね、」

そうだ。
夜の暗さに巻きこまれて自分迄暗くなる。

みんなそれに耐えてるのに、俺だけ弱いままで。
自己嫌悪。

それでも優しくしてくれる伊沢に小さく頷くことしかできない。
もういっそのこと、全て晒け出しちゃったら、絡まった糸は元に戻るのかな。



わらえなくなったらないて→←ほんとに、ばか



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
19人がお気に入り
設定タグ:QK , izfk , ノックイズ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:涙斗 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年5月1日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。