ちょっと黙ってくれ。【歌い手】 (ページ2)

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「おいまふ、起きろ。」

「ん～…？」

ベッドで気持ちよさそうに寝てるまふの身体を揺するとまだ眠いと寝返りを打った。そんな抵抗は日常茶飯事で、奴からブランケットを取り上げた。

「ちょっと理玖！！ひどい！！」

「はいはいひどくて結構。顔洗ってこい。」

不貞腐れて頬に膨らませるあざといこの男は、俺の20年にもなる幼なじみだ。

女の子のように可愛らしい顔をしているこいつは、脂肪が一切感じられないほど細い身体に、白い肌を持っていて、すぐに無理をしては倒れるほど華奢だった。

20になり上京する頃、俺の母親はきっと、実の息子よりまふよほうが心配だったんだろう。まふの住む部屋の隣に引っ越して面倒を見るように頼まれ(命令され)た。

お陰で家政婦みたいな有様だ。

「理玖！今日のご飯はなに！！！」

「ベーコンエッグだよ。トーストだよな？れ

「さすが理玖！わかってるね！！」

顔を洗いさっぱりした様子で戻るまふを椅子に座らせ料理を運ぶ。「美味しそ～」と喜ぶ顔は悪くない。予め焼いていたトーストをお皿に入れ、メインディッシュと一緒に運んだ。

お茶の用意も終わったらふたりで手を合わせる。

「いただきます。」

これが俺の朝だ。ここ7、8年は変わらない俺の朝だ。