15.疑惧 ページ11
you.
スペインの話も終わり、私たちは普通に過ごしていた。
すると、若宮さんがカレンダーを見て「あ」と声を漏らした。
どうしたものかと、私もカレンダーを見るとそこには“12/31”と記されていた。
つまり、明日は正月。
年越しというイベントがあるのだ。
『蕎麦、食べる？』
ちょうど晩御飯の時間だしと言い、私はキッチンに立った。
若宮さんは、頭にハテナを浮かべて、こちらを見ていた。
『どうしたの？』
「年越しそばって、年を越しながら食べるものじゃないの？」
「おぉ、若宮ちゃん。それは違うぞ。
一般的には、年越しそば…という名前から年を越しながら食べるものだと思われがちだが、本当は年を越す前に食べるんだ」
そう言うと、若宮さんは初めて知ったと目を輝かせていた。
『にしても、年越し忘れてるなんて私たち酷いね』
そう言うと、2人は笑いながら私に共感していた。
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『美味しかった？』
私がそう聞くと、2人は美味しかったと感想を言ってくれ、若宮さんは皿などを洗うと言ってくれた。
「…そう言えば、獅子雄って家事とかするの？」
『2人で暮らしてた時は、進んでやってくれてたよ』
「へぇ〜意外だな」
そんな一面もあるのか、と洗い物をしながら言っていた。
獅子雄は、電話がかかったため席を外した。
『獅子雄、私が助手してた時も洗い物とかは、私に一切やらせてくれなかったよ』
「へぇ、もうベタ惚れだったんだね」
『逆に嫌だったんだけどね』
私が笑いながらそう言うと、獅子雄が電話を終わらせたのか戻ってきた。
すると、コートを着はじめたので私は何があったのか聞いた。
『どうしたの？』
「ちょうど面白そうな事件があったらしいんだ」
『そっか…一緒に年越せないね』
そう言うと、何言ってるんだと獅子雄は私の目を見つめた。
「Aも来るんだぞ」
そう言うと彼は、3人となるとバイクには乗れないためタクシーを準備し始めた。
「いい年越しになりそうだな」
若宮さんが、そう言うと彼は余裕そうに笑った。
「盛り上がってきたな」
３年ぶりに現れた彼は、変わらないセリフを放って慣れた手つきで私の手を引いた。
昔と変わらず、盛り上がってきたなと言って好奇心を輝かせる彼の隣にいつまでも立っていたい。
年越しまで、あと4時間。
盛り上がれる年越しを、彼はきっと届けてくれるんだろう。
この夜の東京で。
2023.01.01になる4時間前
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雫(プロフ) - アゲハさん» コメントありがとうございます！面白い等の嬉しい言葉ありがとうございます！最後まで読んで頂きありがとうございました！ (2020年5月20日 0時) (
レス) id: 443525fccc (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ(プロフ) - とても面白くてよかったです。 (2020年5月19日 9時) (レス) id: 2d9d5c7090 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます！返信が遅れてしまいすみません！2期の際には、もう一度新しく書こうと考えています！最初の方からの応援ありがとうございました！コメント嬉しかったです！ (2020年1月13日 18時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 完結おめでとうございます！もしかしたら二期がやった時に新しく書いたりします？だと嬉しいけど、雫様のペースにお会わせください。最初の方から応援してました！本当におめでとうございます！ (2020年1月4日 20時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - ribonさん» コメントありがとうございます！あけましておめでとうございます！前作から、コメントして頂き嬉しく思います！ここの獅子雄を楽しんでください！ (2020年1月4日 13時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2019年12月29日 20時
