. ページ49
..
少し話していると、流れで初恋の話から元カレ元カノの話になってしまった。
『将人さんって彼女いたんですか？』
「はい、数年前まではいましたよ」
『…なんで別れたんですか？…って聞いてもいいですかね……？』
少し躊躇ったが、俺はAさんにならいいか…と思いゆっくりと話し始めた。
「…数年前に付き合った彼女は、感情豊かな女性でした、俺とは全く無関係だったんですけど、両親からの無理矢理のお見合いで知り合ったんです。
そこから1年間付き合ったんですけど、結局お互いに好き同士では無かったのもあってズレていって…結局最後は彼女から
「何考えてるかわかんない」って、振られました。
…最後まで、神谷さんだったのも今思えば…って感じですね」
『…』
「あ、すみません…話しすぎましたね」
『いや…勿体ないなぁと思って』
頬を少しかきながら、Aさんはそう言った。
「…勿体ない？」
『だって将人さんって、普通に感情豊かな人じゃないですか』
「初めてですよ、それ言われたの」
そう言うと、Aさんは笑いながら俺に言った。
『将人さんの素敵なところに気付けなかった彼女さんは勿体ないことしましたね』
また、彼女の言葉に胸が締め付けられた。
なぜこうにも、一つ一つ優しいんだろうか。
俺は、どう反応すればいいかも分からず、店員が次々と料理を運んでくるのを見るだけだった。
次々と運ばれてくる料理を見ながら俺は聞いた。
「…Aさんは？」
『そうですね…私も数年前は、彼氏がいたんですけど……なんか地味だって言われたのが結構、心の中で残ってて、ずっと彼の前で急に変わってもなぁ…なんて思って、変われないまま結局別れたんですよ』
まぁ、優しい別れだったんですけどね！と明るく笑って言う彼女を見て俺は心から、元彼に勿体ないことをしたな、なんて顔も知らないのに思った。
『…この洋服、実は元彼に地味だって言われた時に、思い切って買ったんですけど…中々着れずにいたんで、今日、初めて着たんです』
「………似合ってますよ…全然、地味なんかじゃないと思います」
そういうと、先程まで悲しげな瞳で話していたのに、俺の言葉を聞いた瞬間に弾けるような笑顔を向けて喜んでいた。
全然、地味なんかじゃないし、むしろ太陽のような人だろ。
……あぁ、元彼はきっと惜しいことしたな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 471人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雫(プロフ) - うみさん» コメントありがとうございます！ 更新する度に楽しく読んで下さりありがとうございます！更新ができない時もありますが、最後までよろしくお願いします！ (2019年9月19日 18時) (
レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 更新される度に楽しく読ませてもらってます！これからもムリせず更新頑張ってください！ (2019年9月16日 20時) (レス) id: 916f75cb10 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「空いてますよ」ではなく、「開いてますよ」です。 (2019年9月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます！この小説を好きと言って貰えて嬉しいです！更新、頑張ります！ (2019年8月31日 7時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
無 - こんにちわ！この小説好きです！更新待ってますね！ (2019年8月30日 22時) (レス) id: 06b55d11a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雫 | 作成日時：2019年8月22日 22時
