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来るはずの痛みは無くて、それを不思議に思った私は期待を胸に目をゆっくりと開ける。


「…」


目の前にいる神谷さんを見た私は、安心から、涙が自然と溢れてきて何も考えられなかった。


「…Aちゃん、泣いてるの?…おまえのせいだろ!!!」


両手を掴まれている木本さんは私に笑顔を向けた後、神谷さんに向かって怒鳴る。

神谷さんはそんな、彼を見もせずに残っている片手で誰かに電話をする。


「……もしもし、神谷です。…はい、そんなことよりキウンクエ蔵前の305号室に来てください。逮捕者が出たんで……はい」


電話を終えた神谷さんは黙って木本さんを見つめるだけだった。


「Aちゃんが怖がってるだろ!出ていけよ!泣いてるじゃねぇかよ、おい!!!」

「出ていくのはあなたの方ですよ」









数分後、直ぐに水城さんがやって来て木本さんは連行された。

私は、まだ涙が止まらなくてソファーに座って泣いていた。
張り詰めた糸が、プツンと切れたのか私の涙は止まらなかった。


「……」


神谷さんは、黙って私の背中を優しく撫でた。
私の涙は、それでも止まらずにずっと流れ続けた。


「…胡桃沢さん、もしかしてずっと溜め込んでたんですか?」

『……わか、らないです……』


本当に、全くと言っていいほど分からないのだ。

そう言うと、神谷さんはゆっくりと私のことを抱きしめた。

…抱きしめた???


理解するのに1.6秒ほどを要した。


「…嫌だったら、突き放してください」


神谷さんの、スーツが私の涙で濡れていくことを申し訳なく思いながら、頭を横に振って私は否定した。

もう、何だかよく分からなくて取り敢えず涙が出てくるのだけはわかった。

私は、神谷さんの背中に腕を回して少しだけ腕に力を入れて涙を止めようと頑張った。


それでも、神谷さんが優しく背中をさすってくれるから涙が余計に溢れて止まらないのだ。


「…もしかして、俺が怖くて泣いてます?」


さすがに、不安になったのか私にそう聞いてきた神谷さんに、ほんの少しだけ落ち着いた私はいいえと少し笑った。









『……ん、…』


気づいたら、寝ていたのか私は目を覚ます。

目を開いて、抱きついていた人の存在を見ると顔が熱くなるのを感じた。

神谷さんは、まだ寝ているのでゆっくりと私の上にある腕を置いて起き上がった。


『……起こさない方がいいよね』


そう小さく呟いた私は、ブランケットを神谷さんに優しく掛けた。

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(プロフ) - うみさん» コメントありがとうございます! 更新する度に楽しく読んで下さりありがとうございます!更新ができない時もありますが、最後までよろしくお願いします! (2019年9月19日 18時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 更新される度に楽しく読ませてもらってます!これからもムリせず更新頑張ってください! (2019年9月16日 20時) (レス) id: 916f75cb10 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「空いてますよ」ではなく、「開いてますよ」です。 (2019年9月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます!この小説を好きと言って貰えて嬉しいです!更新、頑張ります! (2019年8月31日 7時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
- こんにちわ!この小説好きです!更新待ってますね! (2019年8月30日 22時) (レス) id: 06b55d11a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月22日 22時

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