検索窓
今日:2 hit、昨日:17 hit、合計:205,594 hit

. ページ23

.


私の名前を呼んだ木本さんは、私から歯ブラシを奪った。



その直後


『ぁ…!!!』


私の喉元まで歯ブラシをスライドさせた。
嗚咽感に襲われ、その場で咳き込んだ私は、目の前で嬉しそうにニコニコする、極めて奇妙な男を怯えながら見た。


「あ、ごめんね…?」


そう言われ、頭を撫でて来ようとしてきたのを避けた。


『…口、洗って…きてもいいですか』


そう聞くと、笑って「やっと喋ってくれた」とだけ、言うのだった。

私は平常心を保って洗面所に向かう。

確か、洗面所には私のスマホが置いてあるはずだ。それで神谷さんに、連絡をしよう。

声を出すと、まずいため黙って文字を打ち込む。
途中で気づかれる可能性も考えて、私はまとめて打たずに、分けて打つことにした。



A神谷さん
Aマンションに
Aおと



手が震えて上手く文字が打てずに途中で送信してしまう。
『男が』と打ち直そうと、スマホを持ち直すとスマホが上から取られた。


「…なにやってんの?」

『…』


私はなんて言おうと言い訳を頭の中で考えて、思考が渋滞するほど頭を巡らせていると



バキッ…!!!


と何かが割れる音がして、彼から目を逸らしていた私は音がした方へと向いた。


そこには、真っ二つに割られたスマホがあった。


「…ほら、そんな怖がらないでよ…」


足の力が抜け、その場に座り込んだ私を無理やり立たせて、ソファーへと座らせられた。


「…ねぇ、Aちゃん、あの男の人って誰なの?」

『…男の人?、』


「とぼけんじゃねぇ!!!」



いきなり叫ぶ目の前の先輩に、方をビクつかせた。


『…急に言われても…、…、と、特徴とかがあれ、ば』

「…そうだよね、ごめんね。急に怒鳴って……、あのスーツ姿の人だよ…あの祭りの日に来てた」

『神谷さん……?』


口から今、助けを求めている人を頭に思い浮かべて、その人の名前を口にする。


「…で、Aちゃん…あの男の人って誰なの?」

『…』

「彼氏なの?」

『…』

「それとも知り合い?、そうだよね?ね?」


さっきまで高圧的な態度をとったかと思えば、今はすがりつくような態度。…怖い。



『は、い、知り合い…です、』


そう言うと、笑った後


「嘘つくんじゃねぇよ…」


と、突然 私の目の前で手を振り上げた。


「何かあったら、連絡してください」
その言葉だけを信じて、私はきゅっと目を瞑った。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (142 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
471人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - うみさん» コメントありがとうございます! 更新する度に楽しく読んで下さりありがとうございます!更新ができない時もありますが、最後までよろしくお願いします! (2019年9月19日 18時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 更新される度に楽しく読ませてもらってます!これからもムリせず更新頑張ってください! (2019年9月16日 20時) (レス) id: 916f75cb10 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「空いてますよ」ではなく、「開いてますよ」です。 (2019年9月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます!この小説を好きと言って貰えて嬉しいです!更新、頑張ります! (2019年8月31日 7時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
- こんにちわ!この小説好きです!更新待ってますね! (2019年8月30日 22時) (レス) id: 06b55d11a8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年8月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。