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76.その笑顔 ページ29

柊side



俺は、釈放される日を待ちわびていた。


早く、Aに触れたい。

抱きしめたい。



そう思った。




俺は、「明日ちゃんと待ってるから!」という
Aの言葉だけを信じて外に出る。



柊「…お世話になりました。」


それだけ告げ、出て周りを見渡すがどこにもAはいない。






柊「…、やっぱり迷惑だったか。」


でも、それでAがいいならそれでいいと諦めて歩きだそうとした瞬間に後ろから声がした。


貴「…はぁ、はぁ…、先生っ…!ごめん。遅れちゃった。」


そう息を切らして俺の前に現れた女性は酷く綺麗だった。



柊「A!!」


俺は近くへ行ってAを抱きしめた。



貴「わっ…、先生…、!」


Aも力強く抱きしめてくる。






貴「…おかえり。」

柊「…ただいま。」



しばらく、言葉を交わすことなく歩いていると
緑色の木が生えているベンチが見えた。


そこでゆっくりと座って休憩しているとAが俺の方をしっかりと見て告げてきた。







貴「突然で、ごめんね。
…私は、柊先生の事が好きです。」



柊「………俺もAの事が好きだ。

でも、いいのか??

Aよりも先に俺は…死んでしまうかもしれない。」


貴「それでも、私は先生と歩いていきたい。」


イヤリングを揺らしながらそう言う。


柊「…そうか…。



俺も、そう思う。


こんな俺で良かったら。」


実際に壁を挟むことなく顔を見合わせると少しよそよそしくなってしまう。

Aは「あ〜良かった〜。」と声を漏らす。
俺が釈放されたら第一に告白をすると、決めていたらしい。





貴「…もう先生って呼ばなくていいんだよね?」


柊「あぁ。」

すると、突然ベンチからばっと立ち上がる。

貴「一颯、一颯!一颯!!」



そう、目一杯に叫ぶ彼女に俺は思いっ切り吹き出す。


柊「はははっ、どうしたんだよ。」


貴「だってさ、呼びたくてもずーーーーっと
ずーーーーーーっと呼べなかったんだもん!!
ちゃんと悔いのないように呼んでおかなきゃって。」


そう言うAに俺は笑った。



柊「今呼ばなくても、これから先いっぱい呼んでくれるだろ?」

貴「あ、そっか。」


忘れてた!!あはは!!!━━━━━━━━



そう向日葵のように笑う彼女は


前よりも少し細くなってしまったが




俺には天使のように輝いて見えた。

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(プロフ) - 15猫さん» 何度も読み返していただけてるとは...!ありがとうございます。これからも愛読して下さると嬉しいです。 (2021年4月5日 15時) (レス) id: 443525fccc (このIDを非表示/違反報告)
15猫(プロフ) - 素敵な作品で感動しました!何度も読み返してます! (2021年4月2日 23時) (レス) id: 6f86e31a74 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ソーセージさん» こちらこそ、素敵な感想ありがとうございます!落ち着かない世の中ですが、体調に気を付けてお過ごしください! (2020年4月5日 15時) (レス) id: 443525fccc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 蒼炎さん» 返信、かなり遅れてすみません!私の作品を読んでいただきありがとうございます!面白いという言葉、とても嬉しい限りです!これからも、最高の作品を作るのでよろしくお願いします!! (2020年4月5日 15時) (レス) id: 443525fccc (このIDを非表示/違反報告)
ソーセージ(プロフ) - すっごく面白かったし、感動しました!!!こんなに素敵な作品をありがとうございますっ! (2020年4月5日 15時) (レス) id: 711a78eb36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年3月18日 22時

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