11 目に入れても怖くない後輩 ページ12
Aは口こそ悪いが、性格は鬼ではない。
流石に大きな重箱を抱えて木の上にいるAに話しかけるのは苦だろう。
食べている途中だったおにぎりを一旦包み直し、木の下に降りると、そっとその生徒へと近づいた。
あ、この子。
「あの時のちんちくりんじゃん、どうした？また穴に落ちて怪我でもした？」
「ちっ違います！」
重箱の後ろにある顔を覗きに行くと、そこには既視感。
そうだ、先程まで振り返っていた落とし穴に落ちそうになっていた一年の顔だ。
その表情は若干火照っており、恐らくだが重箱が重いのだろうと想像ができる。
「あの、お礼を言いそびれてしまったので改めて礼をと思いまして！」
「僕、黒木庄左ヱ門といいます！あの時は本当にありがとうございました！これ……おにぎりにあうおかずを作ってきたので、よければ召し上がりませんか！」
「……おう」
Aは小さく声を漏らした。
いや、まさかこの大きな重箱が自分宛だとは思わないだろう。
なに？これをAに食せと？仮にもAは女だ、食えるにしたって限度がある。
だが、断るのもなんだか気が引ける。
見ろ、この庄左ヱ門の純粋無垢な瞳の輝きを。
きっとお礼がしたいが一心で真心を込めて作ったに違いない。
それを「こんなに食えるわけないだろタコ、六年にでもあげてこい」だなんて言えるわけがない。
そう、せめて
「こんなに食えるわけないだろ、限度ってもんを知らないんか？」
「うぐっ」
言うならこのレベルだろう。
これでもAは抑えた方だ。「タコ」という悪口がストレートで飛んでいかなかっただけ十分すぎる気遣いである。
だが、目の前の庄左ヱ門は露骨にしょげてしまった。
……ああ、もう！
「食わないっては言ってないでしょ、ほら、危なっかしいからとっとと寄越す」
「！」
これが同学年や六年だったら、「なにやってんだきっしょ」と追い討ちをかけるが、相手は一年。
純粋無垢な可愛らしい時期であるため、正直きっしょと思う部分はAにない。
……というかこれを断る気は端からなかった。
Aは偏食だが、別にそれ以外を食ったら死ぬわけじゃないし、後輩の好意を無下にもできない。
Aは重箱を持ちながら、地面に一生懸命シートを敷いている庄左ヱ門を見つめた。
……ちなみに、それをこっそり見ている土井はまたしても感動して泣いていた。
やっぱりAも成長したんだなあ……！と。
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りにゃ(プロフ) - タジロさん» 強烈な焙烙火矢で無事爆破しました！ありがとうございます！！感謝しかないです！ (2023年4月17日 23時) (
レス) id: 5371188503 (このIDを非表示/違反報告)
しらたき - 浜くんありがとうございました！とても面白かったです！更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2023年4月17日 21時) (レス) @page48 id: ff521c0d45 (このIDを非表示/違反報告)
タジロ(プロフ) - あさん» ハチの惚気！書いててすごく楽しそうなやつきて私もテンション上がっております！是非書かせていただきますね！コメント、リクエストありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです〜！ (2023年4月17日 8時) (レス) id: bcff2be84f (このIDを非表示/違反報告)
タジロ(プロフ) - りにゃさん» おおっと、尾浜くんですか……考えてなかった。ストーリー練りますので少々お時間いただきますね！コメント、リクエスト、更新の応援ありがとうございます！とりあえず爆発するように焙烙火矢投げときますね (2023年4月17日 8時) (レス) id: bcff2be84f (このIDを非表示/違反報告)
あ - めちゃくちゃ面白い作品どうもありがとうございます！！！ (2023年4月17日 7時) (レス) @page44 id: bedbe88999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タジロ | 作成日時：2023年4月1日 2時
