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過去編1〜春〜 ページ7

見渡す風景のひとつひとつが光って見える。

駅からの帰り道。いつもと何も変わらない並木通りを歩いているだけなのに私の気持ちは高揚していた。

青い空、暖かい風、揺れる木々、時々舞い散る白っぽい桜。それぞれが春の季節を彩っていた頃。

まだ出会ったことのない浮き出したばかりの初々しいこの気持ちを私はどこまでも自由に遊ばせていた。

『告白か...。』

ずっと一緒にいられたなら
もうそれでいいのかもしれないな...。

色々と考えながら歩いているといつの間にか俯いていたようで電柱に頭を撃ってしまった。

『いたたた...』

脳震盪を起こしそうな頭を擦りながらふと思う。

『...でも、このままだったら一緒にいれなくなった私はどうなるの?』

自問自答の答え。
私は分かってしまった。
気づかされた真実に目を背けることも出来ず私は立ち止まっていた。

でも不思議と辛くはなかった。もう決心はしてたのかもって。
飛び出した無計画な一歩で信号が青に変わったと同時に走り出した。


どこにいるのかなんて知らない。

何をしてるかも分からない。


でもきっと、この次の次の次の角を曲がった道の先。私が初めてあの人と言葉を交わしたあの川の畔にいるはずだから。

思い付いた場所、あの人の好きな場所。

南風が私を押した。

私は合図のごとく踏み切った。

もうどうだっていいや
この想い伝えられたら
それだけていいんだ。

後悔なんて言葉は知らない。
そうやって今までだって生きてきた。

そうして叶ってく想いがあるんだ。
願いの果てに全て託した。

『急いで行かなきゃ行ってしまうよ』

誰かにそうやって言われた気がした。

全力で走っていた。もう息切れなんて知らなかった。
感情のままに走ってったんだ。

「待ってっ!!!」

勢い良く突き放すように
大きな声で貴方を呼んだ。
ずっと探した後ろ姿
もう他に望むものはなかったのかもしれない。

驚いた顔で振り返った貴方の元に駆け寄った。


距離が徐々に迫る。

cm単位になった頃、
私は反射的に目を強く瞑っていた。


毎日夜な夜な考えいた台詞も、
今はすっかりなくなっている。


気づいた想い。
気づかされた想い。


今伝えるから。



「貴方が好き」

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設定タグ:復縁 , 初恋 , カップル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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Hiruneko (灯 2nd )(プロフ) - こたぬき@ショタコンさん» ありがとうございます!!!頑張りますね!! (2018年1月18日 12時) (レス) id: bd4d841efc (このIDを非表示/違反報告)
こたぬき@ショタコン - 泣きました;。(ガチ) 続きが気になります!更新頑張ってください。応援してます! (2018年1月17日 20時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
編集長 - 掲載おめでとう。この調子で頑張ろうね♪ (2016年4月11日 1時) (レス) id: 31d98c2b85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきたん - 切ない思いが伝わってきました!続きが気になります! (2016年4月11日 1時) (レス) id: b518f3d28b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:σιψυ x他2人 | 作成日時:2016年4月11日 0時

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