４５ ページ46
『明日のお昼くらいにｼｳｫﾝ、こっちに来てくれるように伝えておいて？』
「は？そんなこと自分で言えば――」
『だってもうｼｳｫﾝ行っちゃったから…』
電話口、ﾄﾞﾝﾍの悲しそうな声。
行っちゃったってどういうこと？
『お願い！じゃないと俺がﾏﾈﾋｮﾝに怒られちゃう…あ、ﾋｮｸ〜こっち〜！…ね？よろしくね！』
ブチリと雑に切れた電話を
しばらく呆然と見つめる。
ツーツーと電子音が微かに聞こえて
「……はあ」
溜息と共に子機を戻せば
――ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ...
ﾀｲﾐﾝｸﾞよくｲﾝﾀｰﾎﾝが来客を知らせる。
ｴﾝﾄﾗﾝｽからではなく、直接鳴らされた事に気が付き
こんな時間に誰だろう、と玄関に向かった。
滅多に覗かないﾄﾞｱ穴から外を確認する。
「え…？」
慌ててﾄﾞｱを開ければ
「良かったーいたー」
なだれ込むように抱きつきながら
家に上がりこむｼｳｫﾝ。
いつものように鼻まで隠れたグルグル巻きのﾏﾌﾗｰ姿。
外気に冷やされた冷たいｺｰﾄに覆われて
慌ててｼｳｫﾝを押しやると、すぐに離れて
「いなかったら、どうしようかと思ったの」
ﾏﾌﾗｰとｺｰﾄを取り去って
靴を脱ぐｼｳｫﾝは柔らかい笑みを作りながら
大きな手で私の頭を撫でた。
頭からじんわりと熱を帯びる
そんな些細な事さえも恥ずかしくて…
「ﾄﾞﾝﾍのはそういうことなのね…」
妙に落ち着いた声で自分に言い聞かせるようしながら
ｼｳｫﾝに背を向けて、またﾘﾋﾞﾝｸﾞへと戻っていった。
スタスタと歩く後に
足音が続く。
私はｷｯﾁﾝ、ｼｳｫﾝはﾘﾋﾞﾝｸﾞのｿﾌｧｰ。
お決まりのように、彼のｿﾌｧｰに身を預けた後姿を確認して
お湯を沸かす。
「ねえ、これって…」
良い匂いが立ち込めたことを合図に
彼はｷｯﾁﾝにやってきて、私を後ろから優しく包み込んだ。
「家の鍵？」
何かに気付いたように、口をつけたﾏｸﾞｶｯﾌﾟを置いて
私の腰を抱いたまま、空いた手で
近くの冷蔵庫のﾏｸﾞﾈｯﾄに引っかかっていた鍵を手に取る。
この家のｽﾍﾟｱｷｰ。
一人暮らしで一つしか使わない私は
失くさないように、ずっとそこに引っ掛けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SuperJunior」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちぇ。(プロフ) - wakaさん» ｺﾒﾝﾄありがとうございます^^どこかでその後の二人書いてみようと思います：） (2016年11月22日 9時) (
レス) id: e14a95ed00 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - お疲れ様です。おわっちゃった・・・・いつかその後を書いてくれたら嬉しいなぁ。次回作待ってます！！ (2016年11月21日 18時) (レス) id: 2c21ad0cad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちぇ。 | 作成日時：2015年1月17日 2時
