第八十二話 ページ22
「もう終わり？」
固まったままの隼総に声をかける。
隼「あ、あぁ…」
その声にハッとした隼総は、ドライヤーやヘアオイルを片付ける。
三人が居なくなった途端、少し距離を取り始める隼総。
顔色もどんどん悪くなっていってるように見える。
「隼総」
隼総の方に近づきながら彼の名を呼ぶ。
彼は少しずつ、後ずさる様に離れる。
その行動に、少しイラっとする。
「どうして逃げるのかしら」
イライラする感情を抑えながら隼総に問いかける。
壁際まで行った隼総は、その場でしゃがんで顔を隠した
隼「お嬢様って、性格悪いな」
「あら、貴方がそれを言うのかしら？」
俯いている隼総の前まで行って私もしゃがむ。
気配で近くにいるのはきっと分かっているだろう。
隼総は絶対にこっちを見ないと言うように俯いたまま動かない。
隼「嫌がらせのつもりか？俺が夜は近づけないって知ってるだろ」
「そうやって、いつまでも塞ぎこむつもりなの？」
ギリッと音が聞こえてきそうなくらい、自分の腕をつかんでいる隼総の手に触れる。
隼総はビクッと震えて私の手を振り払い、私に覆いかぶさってきた。
隼「お嬢様が言ったんだからな。俺が望むなら、その先もって」
「あらあら、床でするつもり？
ムードってものがないわね」
怯むな。震えるな、私。
顔色悪い癖に、凄む隼総。
今にも襲ってきそうな勢いだけど、隼総はそんな事しない…いいえ、出来ない。
私だってただでさせるつもりはない。
それが分かっているから、強気でいける。
隼「あぁ、それは気づかなくてすまないね。」
精一杯の虚勢を張って、隼総は私を抱きかかえてベッドへ移動する。
投げ捨てるように私をベッドへ下ろす隼総
ベッドの傍にあるリモコンを操作して、部屋の電気を消してまた私に覆いかぶさった。
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作者名：汰ると | 作成日時：2018年6月29日 5時
