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第八十話 ページ20
「はぁ〜…」
湯船につかりながら体の力を抜く。
湯加減も丁度良くて、一日の疲れが取れていく。
静かで、シャワーから水滴が落ちる音が浴室に響く。
「今日の相手…ね」
肩までお湯につかって、ゆっくり目を閉じる。
今までは(本当は嫌だけど)誰かひとり贔屓せず、順番に呼んでいる。
パパの命令だもの、逆らえないから仕方なくよ
「そういえば、パパって呼ぶのもいつぶりかしら。」
いつからだったか、覚えていない。
クラスの子たちが父親といつまでもべったりするのはおかしいって話をしているのを聞いてからなんだかパパって呼ぶのも恥ずかしくなってきて。
でも間違いなく、その時からお父様って呼ぶようになったっけ。
この前、四人の事でパパと話してから呼び方を戻したけれど。
まぁ、それは置いといて…。
「隼総…かしら、ね」
光良にも、頼まれたもの。
京介への気持ちは変わらない。これは絶対。
でも、パパとも約束したから。
「よし。頑張るのよ、A」
パンッと自分の頬を叩いて、湯船から出る。
ねぇ、春奈ちゃん
私、昔の事思い出せる日が来るかしら？
思い出したら、何か変わるのかしら？
ねぇ、パパ。
私とあの四人をあわせたのは、訳があるのよね。
だから私。覚悟を決めるわ。
「さて、私も文句ばかり言わずにしっかり向き合っていこうかしら」
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作者名：汰ると | 作成日時：2018年6月29日 5時
