第七十八話 ページ18
隼「ただいま戻りました…って、何してんだ」
ガチャっとドアが開いて隼総が帰ってきた。
少し驚いて顔が引きつっている隼総
まぁ、驚くのも無理はない。
さっきの言葉が余程嬉しかったのか、目を輝かせて子供のような笑顔の西野空が思いっきり抱き着いてきたせいで勢い余って倒れてしまったのだ。
鞄を持っている喜多は突然の事であわあわと慌てて横にいる
「うっかり気を許した発言はもうしちゃいけないと身をもって体感したわ…」
西「だってだってぇ、おじょーさまがデレて嬉しかったんだもん！」
星「嬉しかったんだもん！じゃない。
早くA様の上から退け宵一。」
どこからか現れた星降が西野空の首根っこを掴んで、無理やり私から引きはがす。
西野空が退いたと同時に、喜多が私を起こす。
そして乱れた髪を隼総が綺麗に整えてくれた。
隼「ったく、何やってんだか。」
「ほんと、西野空がまだ自分の立場を理解していないことに驚いたわ」
主人に飛び掛かってくる執事なんて、聞いたことがないものね。
しょぼくれている西野空を横目に、リビングへ向かう
リビングには既に人数分の食事が並んでいる。
食事…というか、複数のゼリー類の物が置かれている場所もあるわけだけど。
「ほら、隼総は喜多と一緒に荷物を置いてきなさい
西野空もいつまでもそんな顔しないで。」
了解、と隼総は私の手の甲にひとつキスをしてから喜多と一緒に部屋へ向かう。
リハビリとやらの後だからか、いつもの疲れ切った顔じゃない隼総。
光良に言われたことを思い出しながら席に向かい、星降が椅子を引いて私を座らせる。
私に、本当にできるかしら。
なんて、考えても答えなんて見つからない。
春奈先生から聞いた話も、一度パパと話してちゃんと思い出さなきゃ。
部屋から戻ってきて椅子に座る隼総と喜多を確認して、一度手を叩く。
全員の視線が、私に向けられた。
「それじゃあ、いただきましょうか。
いただきます」
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作者名：汰ると | 作成日時：2018年6月29日 5時
