第七十二話 ページ12
「ごめん、なさい。」
あれから隼総に引っ張られながらお店を出て、学校に戻ってきた。
私たちを見つけると、監督の指示で練習を中断してみんなが一軍部屋に集まる。
どうやら練習中に京介は何も言わずに学校を飛び出してきたらしい。
今、その事で京介は春奈先生に呼び出されて一人部屋を出て行った。
神「剣城が飛び出していったから何かあったのかと心配だったんだ。
大丈夫だったか？」
霧「謝ってるだけじゃ何もわかんねぇぞ」
椅子に座って俯く私に、拓人と蘭丸が優しく声をかける。
顔を上げてみんなを見ると、私だけじゃなく隼総と光良も居る事に少し戸惑っている感じだった。
「京介に連絡した時、ちゃんと説明するべきだったわ。
遅れる、って連絡しただけだったから…」
霧「ん？連絡したんだったら別に良いんじゃないか？
連絡が全くないから慌てて飛び出してったもんだと思ったんだが」
神「あぁ、そうだな」
「え？」
考えていた答えと違って、ぽかんとしてお互いに顔を見る。
浜「剣城のやつ、すっげぇ慌ててたからねぇ
事故でもあったのかなぁって」
速「そうですよ〜
あんなに慌ててる剣城くん見たらみんなそう思いますって」
剣城の早とちり、過保護すぎだ、とみんな口にするのを何も言えずに聞き続ける。
京介が悪い、みたいな空気になる一軍部屋。
喉がつっかえるような感覚がする。
なんで、私じゃなくて京介が責められているんだろう。
言い返したいけど、声が出ない。
私は何も言えなくて、泣きそうになったのを我慢しながらもう一度俯いた。
隼「俺の責任です。
お嬢様を無理やり連れ回した俺が悪いんです。
すみませんでした。」
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作者名：汰ると | 作成日時：2018年6月29日 5時
