第六十一話 ページ1
星「お嬢様、玄関まで鞄お持ちいたします」
あれから一週間経った。
私たちの関係は変わらず、執事と主人の関係のまま。
やっぱり、毎日キスはしてくるけれど。
でも、全員確認を取ってからするようになった。
まぁ…断ってもしてくるから確認を取る意味はないんじゃないかと思う。
それに、四人は私が本気で嫌がることはして来ないし、京介との関係も良好だし…別にいいかなとも思い始めてる自分がいる。
「ありがとう、星降」
学校へ向かうために用意を済ませると、部屋に来た星降が私の鞄を持つ。
制服姿の彼らも見慣れたもので。
あの日以来、四人は学校も天河原の方へちゃんと通っている。
隼「あ、お嬢様。
寝癖ついてますよ」
玄関に着くと、玄関に飾ってある姿鏡と向き合っていた隼総が私に気づいて声をかける。
慣れない敬語で話しかけてくるようになった隼総に少し違和感を覚えつつ、返事をした。
私よりも身だしなみに気を使う隼総。
美容とか、洋服とか。困った事があれば隼総に聞けばなんでも答えてくれる。
隼総は私の髪にそっと触れ、ポケットから取り出した櫛で梳かし始めた。
どのぐらいの寝癖がついていたのかと姿鏡を見ると、そんなに気にならない程度。
隼「お嬢様、俺は今日帰りが遅いので。」
「あら、どこか行くの？」
髪を梳かしながら話す隼総を姿鏡越しに見て問いかける。
いつも四人揃って帰ってきていたから、隼総一人だけが遅いなんて初めてだ。
隼「知り合いに会うんで。
はい、整いましたよ」
整い終わった髪にそっとキスをする隼総。
キスをしてから、小さく あ。と呟いた
隼「悪い。つい…」
「別にいいわ、梳かしてくれたお礼ってことにしてあげる
行って来るわね」
西「いってらっしゃ〜い！」
微笑みながら隼総の手を払い、星降から鞄を受け取って喜多が開く扉から家を出る。
私はまだ学校の用意が終わってない西野空を横目で見て遅刻するわよ、と注意してから学校へ向かった。
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作者名：汰ると | 作成日時：2018年6月29日 5時
