【イナGO】お嬢様のお気の召すままに。【天河原】２ (ページ18)

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第四十八話ページ18

霧「お、おい、A!?」

目を隠したまま蘭丸が慌てる。

別に、痛いから泣いてるわけじゃない。

安心したから、だと思う。

不安だった。

ほんの数分…数十分しか経ってなかったはずなのに、とても長い時間に感じた。

隼総がこのまま落ち着かなかったら…

もし、京介が帰ってこなかったら…。

そんな事を頭の片隅で考えてた。

「気に、しないで。

安心しただけだから」

星「A様」

私が言い終わる前に、星降が声をかぶせてくる。

そして、口に何かが当たった。

真っ暗で何も見えなくて何が起こってるのか全くわからない。

けれど、蘭丸の焦った声を聞いてなんとなく分かった。

星「泣かないでくれ、A様」

星降はハンカチで腕を押さえたまま、(恐らく)空いている方の手で私の頬に触れる。

「泣きたくて泣いているわけじゃ、ないわよ」

西「お嬢様は泣き虫だもんねぇ」

霧「お、おいおいおいおいおい…っ!!!!

なんで誰も驚かないんだ…!?」

私の目から手を離して、私を抱っこして星降から少し離れる蘭丸。

星降に腕を掴まれてるから、あんまり離れられなかったけれど。

「蘭丸、離して」

霧「お前ももうちょっと嫌がれよ！

剣城と付き合ってんだろ!?」

「分かってるわよ、だから離して」

なんとも言えない顔をする蘭丸。

私だって、やられて黙ってるような女じゃないわ。

昨日も、今日もそう。

しぶしぶ私を離す蘭丸。

「星降、分かってるわね」

星「…はい。」

私の腕を掴んだまま、星降は目を伏せて返事をする。

そんな顔したって、許さないんだから。

右手を振り上げて、星降の頬をめがけて振り下ろす。

パンッと乾いた音が響いた。