聞いて、五年生。【RKRN】

聞いて、五年生。１２８ ページ33

『言葉にするのは凄く苦手だから短く言う』


五年生達は聞き逃すまいと目を見開いた。
兵助は相変わらずしがみついたままだが聞いてくれる様子。


『まず兵助。キスは大切な人に大切な時にするんだ。乱用はするな。あと豆腐は作り続けた方が良いと個人的に思う』
「･･････」

『勘右衛門。学園長のお菓子をあまり食べ過ぎるな、いつか雷落ちるぞ』
「うげっ」

『八左ヱ門。生物委員会委員長代理としていいところを後輩に見せろ。決してあの時の様に戻らないこと』
「もうないよ･･････」

『三郎。お前は変態だ。くのたまに嫌われないようにな。ストーカーじみた行為が一番嫌だったぞ』
「す、すまん･･････」

『雷蔵。お前もだ、抱き着くのは良いことだが適度に時と場合を考えること。まぁお前ならうまくやっていけそうだな』
「お母さんみたいだね、A」


言いきれた、良かった。
しかしまだなお涙は止まることを知らない様子。


『五年生、』


一人一人の顔を見て、深呼吸した。
一人は腰に居るので頭に手を乗せておいた。



『次こそはうまくやっていこう』


“次”


明日や明後日、一年後十年後ではない。


来世、来々世かも。




でもまたいつか違う形で会えることが出来るのならば。
トラウマなんてつくらず最初から心の底から信頼し合える関係になりたい。

そう思った。




「次‥･･･？」
「次っていつ！？」

『生まれ変わってだろう』

「えぇ〜そりゃないよ」


袖でグイッと涙を拭って、ここ数年で一番微笑んだ。

しがみついていた兵助も思わず立ち上がりハッとした。
四人もこれでもかと目を見開いていた。


「笑った･･････昔の笑顔と同じように！！」
「ちょ、涙腺崩壊の予感」
「懐かしいよおおおおおおおお」




五人に押しつぶされるように突進された。
耐え切れず後ろに倒れ込んでしまった。

『あは、あはは･･････っ！くは、ハハハハ！』

「声に出して笑うのも久しぶりだ･･････」




六人で笑い合えたなんて久しぶり過ぎた。

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