諸伏妹は今日も潜入中２ (ページ40)

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スタジオの部屋が開くまで、休憩室で小一時間待つことになった
コードを教えるために、ベースやギターを借りて音を出す

「へぇ…アンタベースも弾けるんだな…」

「君が会ったっていうお兄さんのお友達ほど上手くはないと思うけどね？」

私に続いてドレミを奏でた彼女に蘭さんの歓声が上がる

「ただドレミを弾いただけだって…ま、兄貴の友人に教わったのはこれくらいだけどね」

「そうなの？」

「うん、駅のホームだったし、向こうも急いでるみたいだったし」

…駅のホーム？
それって…聞いた話にすごく似てる…

「ベースを教えてくれたその男の人の顔、覚えてる？」

「…なんで男だって分かったんだ？ボク、男だなんて一言も言ってないよね？」

「……何となく、かな」

探るような視線を外に向けると、離れたテーブルで他のお客が揉めているのが目に入った
４人組ガールズバンドってところかな…？

「ライブまであと一週間しかないんだよ！？もっと気合い入れて練習しなきゃ！なんでそんなにやる気がないの！？」

一人の金切り声の後、ニット帽の女性が席を立った

「萩江？」

「ごめん、ちょっと眠いから仮眠取ってから練習再開でもいい？10分くらい寝たら復活するから…」

そして各々爪を切るやら、上着のボタンを付け直すとやらで休憩室を出ていった

「…朱音のための追悼ライブだから絶対に成功させなきゃいけないのに…」

追悼、か…
曲決めで盛り上がっているコナンくんたちの方へ再び視線を戻した