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私の最初の記憶は知らない少年が崩れ落ちた姿
知らない少年が2人に知らないおばさん。
そして白衣を着たお医者さんたち

なんで私はここにいるの?
この人たちは誰?

混乱した頭に浮かんだのは、黒髪の少年は私のせいで泣いているということ

「…あなたは諸伏Aちゃん。この男の子はあなたの双子のお兄ちゃんの景光くんよ…分かる?」

おばさんが発した言葉に混乱が深まった
お兄ちゃん…?

「…分かんない…」

そう、と優しく微笑んだおばさんの顔が頭に焼き付いた

その日から私も小学校に通うことになった

「……諸伏A……よろしくお願いします」

知らない人たちの中に昨日の金髪の少年と『お兄ちゃん』の姿を認めて安心した
…なんであの時安心したのか…
もしかしたら心の奥底ではヒロ兄のことを覚えていたのかもしれない…

「Aはヒロの妹なんだろ?」

「…ヒロ?」

「お前の兄貴だよ…ほら、ヒロ!」

昨日家に居たのに一言も言葉を発することがなかった少年がおずおずと私の手を取った

「……お、…おれっ…Aの……っ、おに…お兄ちゃん……」

彼が言葉を発したことで金髪の少年から歓声が上がった

「ヒロ!声が出たのか!!」

「う…うん」

辿々しい口調に違和感を覚えると同時に懐かしさを感じたことを覚えている

「僕の自己紹介がまだだったな!降谷零!ゼロって呼んでくれ!」

「ゼロ…」

目覚めてから初めて呼ぶ人の名前に心が暖かくなった
そして、『双子の兄』

「…ヒロ?」

先程ゼロが呼んだ名を繰り返すと、彼の顔が綻んだ
でも…どこか寂しそうな顔をしていた
私はこの後2年間その理由を知らないまま生きることとなった

かつての私は『ヒロ兄』と呼んでいた_

それが彼のあの顔の理由。
兄・高明の存在を忘れてしまったことをここで悟ったと後に兄は言っていた


忘れてごめん。
一緒にいれた唯一の家族なのに悲しい思いをさせてごめん。
一年前なら言えた言葉も今はもう…届かない。

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まめもやし - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに修正致します…! (6月18日 9時) (レス) @page39 id: b87ba5c8ac (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - カフェ定員じゃなくて、カフェ店員です。 (6月16日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
まめもやし(プロフ) - ふゆなさん» 遅くなってすみません…ありがとうございます! (2022年6月4日 22時) (レス) @page6 id: b87ba5c8ac (このIDを非表示/違反報告)
ふゆな(プロフ) - 続編おめでとうございます!!、 (2022年5月30日 7時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめもやし | 作成日時:2022年5月28日 19時

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