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私は俗に言う記憶喪失ってヤツらしかった
ゼロに会うまでの記憶はアラサーになった今でも思い出せない

これは双子の兄に聞いた私の空白の記憶


______


俺たちはそっくりで仲良しな双子の兄妹だった
両親は教師をしていて、賢い自慢の兄もいた
近所の人たちには『理想の家族』とまで言われた


小学生の夏


「いいって言うまで出て来ちゃダメよ」

母の言葉を忠実に守って、呻き声がしても濃い鉄の臭いがしてもクローゼットの扉を開けなかった
クローゼットの隙間から見えたのは血溜まりに臥せった両親の姿
しばらく声を殺して潜んでいると、インターホンが鳴った

「ただい……お、お父さん!!!」

何も知らずに家に入ってきたのは友人と遊んでいた双子の妹A
包丁を持った男が固まったAに突進していくのを俺は黙って見ていることしか出来なかった

気付けばクローゼットの中で気を失っていて、次に目を覚ました時には林間学校に行っていた兄が帰って来ていた

「景光。父と母が死んでいる…それにAも気を失っている…何があったか話せるか?」

両親は死んだ。
Aも死んだと思っていたけど、しっかり生きていた
包丁で刺された様子はなかったから恐らく突き飛ばされて頭を打ったんだろうと兄は言っていた


結局Aは目覚めないまま生き残った兄と俺たち双子は離れ離れになった

兄は長野に残り、俺たちは東京の親戚に引き取られた


目覚めない妹と知らない土地

不安で仕方がなかった

しかも俺は失声症になって、声を失ってしまった


この時『理想の家族』は崩壊したことを幼いながらに悟った

・→



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まめもやし - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに修正致します…! (6月18日 9時) (レス) @page39 id: b87ba5c8ac (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - カフェ定員じゃなくて、カフェ店員です。 (6月16日 7時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
まめもやし(プロフ) - ふゆなさん» 遅くなってすみません…ありがとうございます! (2022年6月4日 22時) (レス) @page6 id: b87ba5c8ac (このIDを非表示/違反報告)
ふゆな(プロフ) - 続編おめでとうございます!!、 (2022年5月30日 7時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめもやし | 作成日時:2022年5月28日 19時

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