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ページ28

スマートフォンをまじまじと見ていた兄が顔を上げた
穴の内側の黒ずんだ染み。そして、裏面には傷に見せかけた独特の『H』の文字…
この聡い兄はそれらの意味に気付いたのだろう

「人生死あり…修短は命なり…」

三国志で周瑜が放ったこの言葉
意味は確か…

「「人は死を避けられない…短い生涯を終えるのは天命である」」

私たち兄妹の声が重なったことで、兄は全てを悟った顔をした
そして、訳が分からないと言った顔をしている警視庁の2人へと向き合う

「これはAの双子の兄…私の弟のスマートフォンです。警察をやめたと言っていたのですが、ここにこれが届いたのなら…恐らく公安にでも配属されて、潜入先で命を落としたのでしょう」

そう、穴は弾痕で染みは血痕。
このスマートフォンを見るのは始めてだけど、ヒロ兄の死因を知っているから理解できる代物だ
それをこの兄は予備知識もなしにやってのけた
しかも、亡くなったときの境遇まで当ててくるなんて…


________


「流石だね、お兄ちゃん」

警視庁を出て、都会の雑踏の中を並んで歩く
今日のうちに長野に戻るらしく、その足は新幹線の駅へと向かっている

「…正解、ですか?」

「うん…」

「…父さんと母さんに会っているんでしょうか…」

「どうだろう?仲間たちの所にいるかも…どっちにしろそれはタカ兄が持っていて欲しい」

ヒロ兄ならきっとそうする
陣平くんたちも笑顔で迎えてくれるよ
…あー…伊達班長は彼女さんの所にいるかも知れないけどね…

空の上に思いを馳せていると、横から唸ったような声が聞こえた

「これは…丸?それとも数字のゼロ?」

その言葉にぎくりとする
スマホが入っていた封筒に書かれていた○
きっとあれは、数字のゼロ
伊達班長だけに分かるように、送り主が書いたもの

「ゼロ…?確か景光が昔…」

そこで言葉を切ったのは、全てに気付いてしまったからだろう
昔、一度だけ会った私たちの親友が送り主であり、その彼も素性を明かすわけにはいかない立場に居ることに。

「……Aは絶対に生きろ」

静かな沈黙が広がって、小さな兄の声は今にも消えてしまいそうだった

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- 面白いです!頑張って下さい。応援しています。後、いきなり、すいません。m(_ _)m (8月23日 12時) (レス) @page43 id: 2876b83137 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月12日 17時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめもやし | 作成日時:2022年4月12日 20時

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