おねえちゃんだから. (ページ25)

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#25 ページ25

「なんでだ?お頭や他の奴らだって知っていた方が…」

「ララが『誰にも言うな』と」

「…だが………」

「可愛い娘に泣きそうな顔で言われたらよ…」

「！」

「それを守ってやるのもまた親だろ」

「………そうだな」

『言わないで…ベックマンさん…』

脳裏に過ぎるララの悲痛ともとれる声と表情

知られたくねぇ理由を問いただすつもりはない
ララにもララの思いがあるんだ

「俺はララの傍にいる。お前上手いことごまかしておけ」

「丸投げかよ!?」

お頭は『ララが具合悪い』と聞いたら今すぐにでも飛んでくるだろう
だがララは知られたくないと言ったんだ

その約束は守らねえとな

ホンゴウと別れてからもう一度ララの部屋に入る

ララは眠っているようだった

そばにある椅子に腰掛けて適当に本棚にある本をとる

「……ベックマンさん…」

「！…起こしちまったか」

ホンゴウさんがくれた痛み止めが効いてきたのかさっきよりは身体が楽になった
ふと自分の近くに気配を感じて目を開ければ、ベックマンさんが居た

声をかければベックマンさんは「起こして悪い」と優しい声で言う

ああ…知られちゃったなぁ……

本音は知られたくなかった

手がかかるなんて。思われたくないから

「痛みはどうだ?」

「…だいぶ楽です……」

「そうか。それなら良かった」

「……酒場。戻らなくていいの?」

「あぁ。別に構わねぇよ」

「……………………」

本当は行きたいんじゃないの?

無理して私のそばにいるのでしょう?

やだな…迷惑になりたくない

いっその事ベッドに寝かせてそのまま酒場に戻ってくれる方が。幾らか気持ちが楽だった

『可哀想だから』『居てあげないと』

そんなことを思われてそばに居られるくらいなら

ウタのそばにいて相手をしてもらっている方がマシだ

“でも”

本来なら私があの子を見ていなきゃいけない

なのに

その役目さえもちゃんとこなせない

私がやらないといけないのに

私にはそれしかないのに

私は『おねえちゃん』しか……出来ないのに