おねえちゃんだから. (ページ27)

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#27 ページ27

そんな言葉。聞きたくない

『嘘だ。聞きたかった』

『言われたかった』

今更言われても嬉しくない。優しさなんていらない

『嘘だ。嬉しいのに』

『その優しさに飢えていたじゃないか』

ああ。違う。なんで。今私は

こんなにも心が痛い

鼻腔がつんと痛くなる

目頭が熱くなる

違う。違う違う違う違う違う

泣かないと言った。決めた

もう涙なんて流さない

あの日にそう誓ったの

「……それじゃあ。守れないよ。ウタのことを」

ぐっと堪えて絞り出す声

震えないように。必死に耐える

「ウタもお前も。“俺たち”が守るからいいじゃねえか」

「……………………」

ウタも守る。私も守る

強欲だ。そんな事が出来たら今までの私はなんだったのよ

今まで積み重ねていた“重み”

並べてきたドミノが。たったひとつの言葉で

あっさりと倒されてゆく

「…ララ。今は何も考えずに自分のことだけを考えろ＿＿＿」

『お頭とウタはこの部屋には入れねえよ』

『だから安心していい』

「…………………」

＿＿＿ああ…

なんで。欲しい言葉を言ってしまうかな

欲しかった言葉。貰いたかった言葉

“愛情”という水に飢えて罅割れた大地が静かに満たさてゆく

どうしてそんな事を言ってしまうのかな…

だけど。そんな愛情(優しさ)でさえも

私の心に降り注ぐ黒い灰は泣くことを許さない

罅割れた鏡が私の顔を写すまいとするように

“そんな愛情(もの)に手を出すな”と

もう1人の私がとおせんぼをした

『手を伸ばしても無駄よ』

「…………………」

だから。声は出さずに

ただ静かに堪えた

だけどベックマンさんはただ何も言わずに。シーツを握りしめる私の手を握ってくれていた

まるで。“大丈夫だ”と言い聞かせてくれているかのように